日本大百科全書(ニッポニカ) 「クジラドリ」の意味・わかりやすい解説
クジラドリ
くじらどり / 鯨鳥
prion
鳥綱ミズナギドリ目ミズナギドリ科クジラドリ属の海鳥の総称。同属Pachyptilaに含まれる6種は、いずれもおもに亜南極海域に分布し、島々で集団繁殖する。全長25~28センチメートル。上面青灰色、下面白色の小形の海鳥で、外洋で海表面や表層の動物プランクトン(おもにオキアミ類)やイカ類などを夜間に捕食する。その際、水上に浮いて翼を上方に伸ばし、頭を水中に入れたまま水かきのある足で水をけって前進する。開いた嘴(くちばし)に入ってくるプランクトンを櫛(くし)状の縁でこしとる。いくらか潜水することもできる。6種は嘴の形態が互いに異なるほかはよく似ていて、海上での見分けはほとんど不可能である。島の岩のすきまや土中の横穴に1卵を産む。夜、巣に戻って給餌(きゅうじ)する。
[長谷川博]