改訂新版 世界大百科事典 「ダイコクコガネ」の意味・わかりやすい解説
ダイコクコガネ (大黒金亀子)
Copris ochus
甲虫目コガネムシ科の日本に生息する最大の糞虫(獣糞を食物とするコガネムシ)で,体長20~30mm。雄は頭と胸に突起があるが,その大きさには個体差がある。北海道,本州,九州のほか,朝鮮半島および中国東北部まで分布する。低山帯や山ろく帯の放牧地に生息し,6~7月ころにもっとも多く出現する。成虫は日没時に活発に飛翔(ひしよう)し,明りにも飛来する。牛や馬の糞に飛来した成虫は糞の下に穴を掘り糞を詰め込み,それを食べつくすと新しい糞に移る。育児のための穴掘りは雌雄で行い深くまで掘り進む。糞を運び込み,育児室をつくり,糞塊から2~5個の糞球をつくる。1個の糞球に1卵を産みつけ,孵化(ふか)した幼虫は糞球内で育つ。成虫は産卵後も糞球から離れることなく,糞球を管理する。幼虫は40~50日後には蛹化(ようか),さらに2~3週間後に成虫となる。日本には本種のほか,ミヤマダイコクコガネ,ゴホンダイコクコガネなどを産する。
執筆者:林 長閑
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報