日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダイコクコガネ」の意味・わかりやすい解説
ダイコクコガネ
だいこくこがね / 大黒金亀子
[学] Copris ochus
昆虫綱甲虫目コガネムシ科ダイコクコガネ亜科に属する昆虫。日本各地に分布し、朝鮮半島、中国、モンゴルにも産する。牧場などにいて糞(ふん)を食べる。体長25ミリメートル内外。体色は黒色、楕円(だえん)形で厚みがあり、雄は頭に長い角(つの)がある。糞の下に20センチメートル前後の縦穴を掘って隠れるが、夕暮れに飛び、灯火にくることもある。秋に地中に部屋をつくり、径5センチメートルほどの糞球をいくつもつくり、頂部に卵を一つ産み込む。幼虫は球の内部を食べて育ち、そのまま中で蛹(さなぎ)となり、成虫になる。
同属種はヨーロッパ、アジア、アフリカ、北アメリカに分布し、日本産はほかにミヤマダイコクC. pecuarius、ヒメダイコクC. tripartitus、ゴホンダイコクC. acutidensがある。熱帯域にはゾウの糞に集まるという大形のナンバンダイコクの類なども産する。ダイコクコガネ亜科Scarabaeinaeは世界に広く分布し、タマオシコガネ、ツノコガネ、エンマコガネなどの類が含まれる。
[中根猛彦]