改訂新版 世界大百科事典 「クライスラー会社」の意味・わかりやすい解説
クライスラー[会社]
Chrysler Corp.
アメリカの自動車メーカー。本社ミシガン州ハイランド・パーク。前身はマクスウェル・モーター社Maxwell Motor Corp.であり,1925年にクライスラー家が同社を買収してChrysler Corp.を設立した。28年にはDodge Brothers Inc.を吸収合併して規模を拡大,37年には国内販売シェアが25%を超え,アメリカ第2位となった。第2次大戦後は,中断していた民間向け乗用車生産をいち早く再開,Plymouth,Dodge,De Soto,Chryslerの四つの基本モデルを確立した。60年代になると,現地企業との資本提携や合弁が進み,海外進出が本格化した。しかし73年秋の第1次オイル・ショックを境に経営が悪化し,76年からは資産売却を始めており,経営規模が縮小している。国内での生産台数は75年に122万台で世界8位の生産量であったが,その後激減,ランクも10位以下になった。アメリカ国内での販売シェアは乗用車,商用車ともに1割程度である。79年からは政府保証による借入れを受けて再建を進め,合理化効果も出て83年度決算は1978年度以来の赤字を脱した。なお1972年三菱自動車工業との合弁に乗り出し,関係が深い。94年の生産台数は276万台(うちアメリカ国内176万台)。売上高507億ドル(1994年12月期)。98年,ドイツのダイムラー・ベンツ社と合併しダイムラー・クライスラー社となった。
執筆者:鈴木 明彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報