改訂新版 世界大百科事典 「ダイムラーベンツ会社」の意味・わかりやすい解説
ダイムラー・ベンツ[会社]
Daimler-Benz AG
高級乗用車メルセデス・ベンツMercedes-Benzで知られるドイツの自動車メーカー。バス,トラックの生産でもヨーロッパのトップクラス。本社シュトゥットガルト。1926年,ダイムラー社Daimler Motorengesellschaft(1890年G.ダイムラーにより設立)とベンツ社Benz et Cie Rheinrische Gasmotorenfabrik(1883年C.F.ベンツにより設立)の合併により設立。1928年に当時の有名な高性能車Mercedes-SSK,36年に世界最初のディーゼル乗用車Mercedes 260 Dの生産を始める。第2次大戦中は航空機用エンジン,軍用車両の製造を行う。戦後民間向けの自動車生産を再開,50年代に入り,部品・コンポーネントメーカーを買収,58年には乗用車メーカーのAuto Union GmbH,63年にはPorsche Diesel Motorenbau GmbHを買収し,事業を拡大した。65年にAuto Union GmbHをフォルクスワーゲン社に売却する一方で,69年クルップ・グループの商用車部門Rheinstahl-Honomagを買収し,ヨーロッパにおける最大のバス,トラックのメーカーとなった。70年代から80年代にかけて商用車の生産拠点をスペイン,アメリカ,ブラジル,アルゼンチン,南アフリカ,インドネシア,ナイジェリアなどに拡大した。なお世界的な小型車ブームのなかで,ダイムラー・ベンツ社も82年小型車Mercedes 190の販売を始め,従来の高級中・大型車路線に変化が出てきている。売上高1041億マルク(1994年12月期)。98年,アメリカのクライスラー社と合併してダイムラー・クライスラー社となった。
執筆者:鈴木 明彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報