人や動物の下痢の原因になる原虫。直径約1000分の5ミリメートルほどの球形で、感染すると腸内で大増殖し、激しい下痢を招く。1996年(平成8)6月、埼玉県越生(おごせ)町の水道に混入、約8700人の患者が出て驚かせた。人のほか、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコなど感染動物の便が原因になる。硬い殻に包まれた状態で排泄(はいせつ)されるため塩素殺菌などに強く、治療薬もない。下痢は通常3日から1週間程度で治るが、免疫が落ちていると死亡することもある。米ウィスコンシン州では1993年に40万人が感染、約400人が死亡した。欧米のエイズ患者の2割が感染しているというデータもある。厚生労働省は水源の近くに人や家畜の糞便(ふんべん)処理施設がある場合には水質検査を徹底するなどの対策を呼びかけている。
[田辺 功]
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