日本大百科全書(ニッポニカ) 「クリューゲル」の意味・わかりやすい解説
クリューゲル
くりゅーげる
Ivar Kreuger
(1880―1932)
スウェーデンの技術者、事業家。アメリカ合衆国および南アフリカで建設業に従事したのち、帰国し、1913年マッチ製造会社を設立。第一次世界大戦中事業を大幅に拡大、スウェーデン・マッチ株式会社(略称STAB)を創立。大戦後の経済危機を合衆国など外国からの資本導入と詐欺行為により切り抜ける。24年以後証券投資業にも進出し、投資会社クリューゲル&トルを創立、機械工業、製紙業、鉱業などの分野においてスウェーデンの有力企業を支配下に置いた。また、ヨーロッパおよび中近東の多くの国において、投資の代償としてマッチの製造・販売の独占権を取得。28年ごろには全世界のマッチ生産の約半分を掌握した。しかし世界大恐慌が始まると経営状態が急速に悪化。ふたたび詐欺を含む挽回(ばんかい)策をとったが成功せず32年3月パリで自殺。死後初めて、大規模な詐欺と汚職が明るみに出され、献金を受けていたエクマン内閣は崩壊した。
[本間晴樹]