日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロナカ」の意味・わかりやすい解説
クロナカ
くろなか
Cronaca
(1457―1504)
イタリアの建築家、彫刻家。クロナカは通称で、本名はシモーネ・デル・ポライウオーロSimone del Pollaiuolo。画家として著名なアントニオとピエロのポライウオーロ兄弟の従兄弟(いとこ)にあたる。細部については不明であるが、ある不行跡のかどでフィレンツェからローマへ逃避を余儀なくされたことがあり、そこで古代建築の研究に明け暮れる時期があった。1491年にフィレンツェに帰ると同時に、ベネデット・ダ・マイアーノによって起工されていたパラッツォ・ストロッツィの造営を完了すべく監督者に任用された。そしてこのモニュメンタルな建物の中庭と、古典的簡素さを示す軒蛇腹(のきじゃばら)(コーニス)を自らデザインした。95年にはフィレンツェ大聖堂とパラッツォ・ベッキオの工事監督者に登用され、後者の大会議室の設計にあたったが、これはのちにバザーリによって大幅に修正された。代表作には晩年に建立されたサン・サルバトーレ・アル・モンテ聖堂(1500)があげられる。
[濱谷勝也]