内科学 第10版 「クロモミコーシス」の解説
クロモミコーシス(真菌症)
メラニン色素を産生する黒色真菌による深在性皮膚真菌症.
病原菌
Fonsecaea pedrosoiが多く(90%),ほかに Phialophora verrucosa,P. dermatitidis,Exophiala jeanselmei
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臨床症状
紅色丘疹に始まり,次第に増大,あるいは遠心性に拡大して,軽度隆起性の暗紅色局面,ときに環状局面を呈する.増殖が強く乳頭状〜疣状〜花野菜状疣状皮膚炎やまれに皮下膿瘍・囊腫(phaeomycotic cyst)を形成する.慢性に経過する.往古はリンパ節・肺・腸・脳を侵して死亡する例があった.
組織所見
①真皮の慢性肉芽腫性病変.褐色菌要素(胞子,sclerotic cell)を見いだしうる.②黒色菌糸症は膿瘍・囊腫を形成し,菌要素は菌糸状.
診断
①鱗屑・痂皮・生検組織片の培養(黒褐色のコロニー,スライド・カルチャーで菌種を確認),②組織像とsclerotic cellの確認,③水酸化カリウム直接鏡検法で鱗屑・痂皮からsclerotic cellを確認.
鑑別診断
皮膚疣状結核,スポロトリコーシス,慢性膿皮症.
治療
外科的切除,温熱療法,イトラコナゾール・テルビナフィン内服,その他の抗真菌薬を投与する.[大塚藤男]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報