グスマン・デ・アルファラチェ(英語表記)Guzmán de Alfarache

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

グスマン・デ・アルファラチェ
Guzmán de Alfarache

スペインの作家マテオ・アレマンの小説。2部,1599,1604年刊。『ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯』やケベド・イ・ビリエガスの『ぺてん師の生涯』とともにスペインの悪者小説を代表する作品の一つ。囚人としてガレー船を漕ぐグスマンが,セビリア親元を飛出して以来重ねてきた放蕩と悪事の数々を回想したもので,モラル退廃をとがめた教訓的な警句小説。なかに「オスミンとダラーハ」のような短編小説と呼べる挿話がいくつもある。人間の悲惨と罪に対しては絶望的で,約半世紀前の『ラサリーリョ』にみられたルネサンス的明朗さはない。出版後まもなくヨーロッパ中で非常な反響を呼んだ。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android