日本大百科全書(ニッポニカ) 「グランディ」の意味・わかりやすい解説
グランディ
ぐらんでぃ
Dino Grandi
(1895―1988)
イタリアの政治家。志願兵として第一次世界大戦に参加。ファシストで、武装行動隊創立以来の指導者として知られる。ファシズム体制下で内務次官(1924~1925)、外務次官(1925~1929)、外相(1929~1932)、駐英大使(1932~1939)、法相(1939~1943)、さらにファッショ協同体議会議長を歴任。外相および大使の職を通じて彼は親英派になり、ドイツ側にたつ参戦(第二次世界大戦への)に批判的であった。こうして1940年以後、党内でチャーノ外相とともに、ナチズムに引きずられるファシズムに反対する反ムッソリーニ勢力の指導者になった。1943年7月24日夜の大評議会におけるムッソリーニの失脚は、主としてグランディの功績であった。同年9月の休戦後ポルトガルに亡命し、翌1944年ネオファシストによるベローナの裁判では欠席のまま死刑の判決を受けた。その後、国民解放委員会の設けた臨時裁判で改めて有罪になったが、終戦後、特赦の恩恵に浴した。
[重岡保郎]