小麦に含まれるタンパク質で、プロラミンの一種である。すなわち、水、塩類溶液、希酸または希アルカリ溶液、無水アルコールに不溶であるが、70~80%アルコールに溶ける。したがって小麦粉を含水アルコールで処理すると抽出できる。小麦タンパク質にはこのほかに、希酸または希アルカリに溶けるグルテリンがある。グリアジンは単一のタンパク質ではなく、グルテリンに比べて分子量は小さい。アミノ酸組成はグルタミン酸、プロリン、ロイシンが多く、リジン、グリシンはきわめて少ない。小麦粉中のグリアジンの含量はおよそ4%内外であり、このタンパク質が吸水すると粘着力を生じ、糸状に伸ばすことができる。
[宮崎基嘉]