日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケルプフィッシュ」の意味・わかりやすい解説
ケルプフィッシュ
けるぷふぃっしゅ
Eastern Kelpfish
[学] Chironemus marmoratus
硬骨魚綱スズキ目キロネムス科Chironemidaeに属する海水魚。オーストラリア東岸、ニュージーランド北島に分布する。日本にはこの科の魚はいない。体つきはアイナメ類に似ているが、ゴンベ科と近縁である。体は細長い。頭部の背縁は目の部位で盛り上がる。上顎(がく)の後端は目の前縁下に達しない。両顎(あご)の歯は細かく、歯帯になる。頭部は鰓蓋(さいがい)と前鰓蓋骨の上の小さい鱗(うろこ)を除いて無鱗(りん)。背びれ棘(きょく)部の鰭膜(きまく)は切れ込み、各棘には皮弁がない。胸びれの下部軟条は肥厚する。尾びれの後縁は直線状。体色は淡灰色、緑色、桃色、褐色などさまざまである。体に不定形の暗色斑紋(はんもん)があり、小さい白色、黄色の斑点が全身に散らばる。各ひれに体の斑点よりやや大きい白色斑点がある。全長40センチメートル、体重2キログラムほどになる。水深10メートル以浅の波や強い流れが当たる岩礁域にすむ。小さいグループをつくって、夏の間は動きまわり、さまざまな無脊椎動物を食べる。
[尼岡邦夫]