こうなご

精選版 日本国語大辞典 「こうなご」の意味・読み・例文・類語

こうな‐ご

  1. 〘 名詞 〙 魚「いかなご(鮊子)」の異名。また、その佃煮などの加工品小女子。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「毎年春さきになると、コウナゴの大群〈略〉が入ってくるのを地引網で引くのであって」(出典:ノリソダ騒動記(1952‐53)〈杉浦明平〉一)

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知恵蔵 「こうなご」の解説

コウナゴ

スズキ目イカナゴ科に属する魚イカナゴの稚魚。イカナゴは、日本では沖縄を除く各地の海に生息している。成長するにつれて呼び名が変わり、地方によってはオオナゴ、メロウド、カナギ、カマスゴなどと呼ばれている。「コウナゴ」は主に東北・関東・東海などでの仔稚魚(しちぎょ)の呼び名で、漢字では「小女子」と書く。「春を告げる魚」とされ、船びき網で行うコウナゴ漁は早春風物詩となっている。
1歳で成熟し、12月から1月に海底の砂で産卵する。3月下旬頃には3~4センチに成長し、漁獲されるようになる。水温が高い夏の間は、砂に潜って休眠する。動物プランクトンを食べて群れて生息し、最大25センチ程度まで成長する。仔稚魚は煮干しや佃煮(つくだに)に加工され、兵庫県明石周辺の郷土料理「くぎ煮」が有名。一方、成魚はあまり食用とされず、養殖魚の餌として利用されることが多い。
2011年東日本大震災による福島第一原発の事故後の同年4月4日、茨城県北茨城市沖で取ったコウナゴから1キロ当たり4080ベクレルという高濃度の放射性ヨウ素が検出された。その後も、茨城・福島県沖のコウナゴから暫定基準値を超える放射性物質が検出され、当期の漁が操業終了に追い込まれた地域もあった。コウナゴ以外の魚からは放射性物質は検出されず、コウナゴは海面近くを泳ぐことなどから影響を受けやすかったためと見られている。

(原田英美  ライター / 2011年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「こうなご」の意味・わかりやすい解説

コウナゴ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「こうなご」の意味・わかりやすい解説

コウナゴ
こうなご

イカナゴ

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世界大百科事典(旧版)内のこうなごの言及

【イカナゴ(鮊子)】より

…北海道から九州までの沿岸に分布する。多くの地方で小型のものをコウナゴと呼ぶほか,兵庫県ではカマスゴ,仙台でメロオド,九州北部・山口県でカナギなど地方名も多い。体はたいへん細長く,円筒形で腹びれがなく,体側に斜め後方へ走る多数の皮褶がある。…

※「こうなご」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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