こうもり傘(読み)こうもりがさ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「こうもり傘」の意味・わかりやすい解説

こうもり傘
こうもりがさ

和傘に対して、西洋風の傘をいう。この傘の形が、コウモリが羽を広げたときのようなところから、幕末に西洋傘をこうもり傘といった。1868年(慶応4)版『西洋衣食住』にみえるのがもっとも古い。和傘と違って、傘をつぼめるとステッキにもなるのが斬新(ざんしん)で人気を博した。明治初期の文明開化の商品として、シャッポ、洋服、靴とともに男性の持ち物であった。当初の骨は丸棒であったが、のちにU字形のものも現れた。

 鹿鳴館(ろくめいかん)時代が到来し、女子に洋装が取り入れられるとともに、女性の持ち物にもなり、骨よりも長柄(ながえ)のものが流行し、深張りのものを美人傘とよんだ。布地は、木綿から甲斐絹(かいき)、毛繻子(けじゅす)、琥珀織(こはくおり)など、ぜいたくなものとなり、雨傘ばかりでなく日傘にもなっていった。明治天皇御所用の、ワンタッチ式で、柄(え)には鳳凰(ほうおう)の銀象眼(ぎんぞうがん)を施したものが現存している。現代はじみな無地ものよりもカラフルな色柄のものが女性に用いられている。また、携帯に便利な折畳み式の傘や安いビニール傘も普及している。国内の洋傘の生産量は、1980年代前半には約4000万本前後であったが、その後は安価な輸入品におされ、2006年(平成18)では159万本にすぎない。一方、輸入中国台湾からのものが圧倒的に多く、2005年の輸入量は総計で1億1800万本に及んでいる。

[遠藤 武]

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