改訂新版 世界大百科事典 「コショウボク」の意味・わかりやすい解説
コショウボク
pepper tree
Californian pepper-tree
Schinus molle L.
ウルシ科の常緑高木で高さ5~15mとなり,枝は下垂する。アンデス山脈熱帯域が原産地。葉は互生し,奇数羽状複葉,長さ約25cm。多数の小葉は互生し,線状狭披針形で長さ3~6cm,幅3~9mm。花は雌雄異株,頂生の円錐花序はやや下垂し長さ8~20cm。白色の花弁は鈍頭状円形で長さ2.5~3mm。花糸は扁平で雄花では長さ1.5mmと8mmと交互している。果実は光沢のある赤色でエンドウ豆大,多数が房状になり,美しい。中果皮は樹脂の香りがある。種子や果肉は苦みとともにコショウのような味があり,メキシコでは果実を飲物に用い,種子をコーヒーのまぜ物にし,果肉からは精油をとる。樹皮からとれるゴムをチューインガム用に,地下の樹皮を家畜および人間の下剤とする。また並木にも用い,カリフォルニアで多く栽植されている。材は建築材などに用いられ,湿気に強い。
執筆者:初島 住彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報