日本大百科全書(ニッポニカ) 「コツュビンスキー」の意味・わかりやすい解説
コツュビンスキー
こつゅびんすきー
Михаил Михайлович Коцюбинский/Mihail Mihaylovich Kotsyubinskiy
(1864―1913)
ロシア、ウクライナの小説家。ビンニツァの下級官吏の家に生まれる。ブドウ園での害虫駆除や役所の統計係などを経験。その間ウクライナ語で作品を発表。代表作は中編『蜃気楼(しんきろう)』(1903~1910)。これはウクライナの農村が舞台で、1905年の第一次革命の前夜、農民の革命への参加、富農による蜂起(ほうき)した農民への血の報復、それらが史料に基づき鮮明に描かれている。主人公が農民出身の労働者である点が注目される。登場人物は多彩で心理の動きも的確に表現されている。1909年イタリアのカプリ島へ療養に行き、滞在中のゴーリキーと親交を結ぶ。短編に傑作が多い。チェルニヒウで死去。生地ビンニツァにコツュビンスキー博物館がある。
[小松勝助]