改訂新版 世界大百科事典 「コバノイシカグマ」の意味・わかりやすい解説
コバノイシカグマ
Dennstaedtia scabra (Wall.) Moore
本州以南の暖地の林内に多いコバノイシカグマ科の多年生シダ植物。葉は細かく切れこみ,長さ30~100cm,幅15~35cm,全体にまばらに毛がある。若い葉柄は赤褐色で,若芽の時期には美しい。胞子囊群は葉縁に生じ,コップ状の包膜につつまれる。暖帯上部の林床や傾斜地に多いが,亜高山帯に達することもある。寒い地方では冬に地上部が枯れる。東南アジアからインドにかけて広く分布している。近縁種にイヌシダがあり,石垣などに多い。イシカグマMicrolepia strigosa(Thunb.)Pr.は,胞子囊群が葉の裏面につき,包膜がコップ状にならない性質で別属とされている。
執筆者:光田 重幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報