改訂新版 世界大百科事典 「コロボリー」の意味・わかりやすい解説
コロボリー
corroboree
アボリジニーの神聖かつ秘密の儀式で,音楽のほかに踊りや演劇的な所作を伴うことが多い。神聖ではなく遊びの要素の強いものもあり,一部ではこれをガンボルグgunborgとかニンジ・ニンジninji-ninjiという。歌,ブーメランや木の棒などを叩く音,ディジェリドゥ(木製管楽器の一種)を吹く音,“しっしっ”という歯擦音,踊手の叫び声の中で,踊りは夜間行われた。演じられる主題は,伝統的または最近の日常の出来事(動植物の生態,自然現象の動き,闘い,性行為や悪ふざけ,白人文化への関心や抵抗など)を象徴するものであり,すぐれた民間伝承であった。本来は各部族の聖地と結びついていたが,他部族に伝播,混淆する過程で世俗化し,元の姿をあいまいにしたものが多い。現代化,世俗化に伴う部族統合の崩壊につれて,昔ながらの伝統を伝える本格的なコロボリーは今日見られないが,原住民は騒々しい現代音楽と踊りのパーティを好み,これをコロボリーと呼んだりしている。
執筆者:鈴木 二郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報