朝日日本歴史人物事典 「コワニェ」の解説
コワニェ
生年:1835
幕末・明治初年,鉱山の近代化に貢献したフランス人技師。フランスのサンテチェンヌに生まれ,1855年同地の鉱山学校を卒業。翌年から鉱山技師として4年間はフランス本国で従事,その後はアルジェリア,イスパニア,マダガスカル,カリフォルニア,メキシコで活躍。1867(慶応3)年パリ万博を契機に薩摩藩の鉱山技師として来日,翌明治1(1868)年9月には,明治政府最初のお雇い外国人として生野鉱山(兵庫県朝来郡生野町)に赴任(いずれも五代友厚の建議だったという)。翌2年生野鉱山の近代化を建議し,模範鉱山として「修学実験所」とする意向であった。佐渡,別子などその恩恵に浴した官・民営鉱山は少なくない。また官命により全国の鉱山を調査,明治7年その成果を「日本鉱物資源に関する覚書」と題してフランス鉱業協会の彙報に発表,金メダルを受賞した。同10年1月職を解かれ帰国。<参考文献>石川準吉編訳『日本鉱物資源に関する覚書』,大蔵省編「工部省沿革報告」(『明治前期財政経済史料集成』17巻)
(末岡照啓)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報