デジタル大辞泉
「大」の意味・読み・例文・類語
だい【大】
[名・形動]
1 形・規模・数量などの大きいこと。また、そのさま。「声を大にする」⇔小。
2 程度のはなはだしいこと。また、そのさま。「責任は大である」
3 その社会で水準以上にすぐれていること。盛んなこと。りっぱなこと。また、そのさま。
「僅か一代で今日の―を為したという」〈島木健作・生活の探求〉
4 「大の月」に同じ。⇔小。
5 同名の父子のうち、父のほうを示す。「大デュマ」⇔小。
6 田畑の面積の単位。太閤検地以前は240歩。以後は200歩。
7 「大学」の略。「小・中・高・大」
8 物を表す語の下に付いて、それとほぼ同じ大きさであることを表す。「こぶし大の石」「実物大に作る」「等身大の像」
9 名詞・形容動詞に付いて接頭語的に用いる。
㋐数量や形・規模などが大きい意を表す。「大豊作」「大庭園」「大辞典」「大洪水」
㋑9㋐の意に加えて尊敬または賛美する意を表す。「大先輩」「大僧正」
㋒状態や程度を表す語に付いて、そのさまがはなはだしい意を表す。「大好き」「大混乱」「大失敗」→大の
おお〔おほ〕【大】
[形動ナリ]大きいさま。たっぷりしたさま。
「夏影のつま屋の下に衣裁つ我妹裏設けてあがため裁たばやや―に裁て」〈万・一二七八〉
[接頭]名詞に付く。
1 大きい、広い、数量が多い、などの意を表す。「大男」「大海原」「大人数」
2 物事の程度がはなはだしい意を表す。「大急ぎ」「大地震」
3 極限・根本などの意を表す。「大みそか」「大もと」
4 序列が上位・年長であることを表す。「大先生」「大番頭」「大旦那」「大女将」
5 おおよそ・大体の意を表す。「大ざっぱ」「大づかみ」
6 尊敬・賛美の意を表す。「大御所」「大江戸」
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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だい【大】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙 形の大きさ、数の多少など、相対的な評価、認識において、大きい方あるいは多い方であることをいう。⇔小。
- ① ( 形動 ) 数量や形または規模範囲などが大きいこと。また、そのさま。
- [初出の実例]「今文自三各賜二諸子等一大車一。故知。索レ大也」(出典:法華義疏(7C前)二)
- 「をぐり、このよしきこしめし、大のまなこに、かどをたて」(出典:説経節・をくり(御物絵巻)(17C中)五)
- 「言語は大にしては時代の特徴なり小にしては個人の性格の発現なれば」(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵〉附録)
- [その他の文献]〔易経‐乾卦〕
- ② ( 形動 ) ものごとの程度が大きいこと、はなはだしいこと。盛んであること。また、そのさま。
- [初出の実例]「其罪大而無レ拠レ逋レ身」(出典:太平記(14C後)一四)
- 「其の前途の責任は重く且つ大なりと謂ふべし」(出典:花間鶯(1887‐88)〈末広鉄腸〉上)
- [その他の文献]〔論語‐子罕〕
- ③ ( 形動 ) 実際よりも誇張して偉そうであったり大きかったりすること。また、そのさま。特に、虚勢を張った大言壮語や大げさなふるまいをいう。
- [初出の実例]「『いっそ、練物でも見にゆかうか』『立ち見の足踏まれなら、よしにしたがよい』『ヱライ大いふナ』」(出典:洒落本・短華蘂葉(1786))
- ④ 太陽暦で三一日ある月。太陰暦で三〇日ある月の称。大の月。
- [初出の実例]「その年十月、大なりつるを」(出典:増鏡(1368‐76頃)一二)
- [その他の文献]〔白虎通徳論〕
- ⑤ 中世から近世初期にかけて地積の単位。一段の三分の二をいい、太閤検地以前は二四〇歩、それ以後は二〇〇歩を称した。大歩。
- [初出の実例]「六十歩と云ふは、足数六十也。〈略〉大と云ふは四六十歩也」(出典:大賀村検注取帳副日記‐元徳二年(1330)一一月一八日(古事類苑・政治七二))
- ⑥ 女郎の格付けで高級な位。品川遊里で、揚代十匁の女郎をさしていう。
- [初出の実例]「『さっきとなりへ来てはなしをした女郎衆はなんといふ』『しれやせんは大(だイ)の女郎衆かへ〈拾匁の事也〉』」(出典:洒落本・南品あやつり(1791))
- ⑦ 役者評判記の位付の一つ。「功」と同じく至の上白極の下に位し、功よりは上極昇進の望みがある。
- [初出の実例]「第五半黒極と大(ダイ)とを引合すへし〈略〉大とあるはやがて黒極の位に至るべしといふ事なり」(出典:随筆・済生堂五部雑録(1774‐76)歌舞妓始記評林列伝三)
- ⑧ 長大な打刀(うちかたな)のこと。小刀を「小」というのに対する。
- [初出の実例]「盃を置、つぎへ直りしなに友十郎が大をけちらかす」(出典:歌舞伎・女土佐日記(1726)上)
- ⑨ 「大学」の略。「大卒」「短大」「医大」「東大」
- [ 2 ] 〘 造語要素 〙
- [ 一 ]
- ① ( 名詞の上に付いて )
- (イ) 数量や形、または規模が大きい意を添える。「大群衆」「大企業」「大辞典」「大洪水」など。
- [初出の実例]「大楼閣の中にして、大悲法門説いたまふ」(出典:梁塵秘抄(1179頃)二)
- (ロ) (イ)の意に加えて、さらにそれを尊敬賛美する意を添える。「大先輩」「大編集者」「大社長」など。
- ② 状態や程度を表わす語の上に付いて、そのさまのはなはだしい意を添える。「大好き」「大混乱」「大好物」「大失敗」など。
- [初出の実例]「汝は大正直の者であんなれば」(出典:平家物語(13C前)三)
- ③ 官職、位階などを表わす語の上に付いて、その中での最上である意を添える。「中、少」に対する。「大納言」「大僧正」「大宮司」「大初位」など。
- ④ 同じ分野ですぐれた業績をあげた父子のうち、父のほうの名の上に付けて区別する。Senior と Junior の区別のある、主として父子関係の Senior に対応する訳語。「大デュマ」「大ヤコブ」「大ガブリエル」
- [ 二 ] 具体的な物を表わす語の下に付いて、その大きさとほぼ同じである意を添える。「こぶし大」「米粒大」など。
- [初出の実例]「其
或砂の如く或鱗片の如く稀に鴿卵大の者あり」(出典:舎密開宗(1837‐47)内) - 「同時に其等の紙面の裏には一頁大(ダイ)の広告が」(出典:野心(1902)〈永井荷風〉六)
大の補助注記
( 1 )[ 一 ]②のうち、「の」を伴うものは現代語の場合は、連体詞「だいの」として独立させる考え方もできる。
( 2 )[ 二 ][ 一 ]①②は、付く語によって同意の「おお(大)」と使い分けられているが、必ずしも和語、漢語の別にはよらない。
おおきおほき【大】
- [ 1 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 本来は「多し」と同源。→おおい・おおきい・おおきな・おおきに )
- ① 空間を占める容積、面積が大であるさま。
- [初出の実例]「此児やしなふ程にすくすくとおほきになりまさる」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- ② 事が大がかりであるさま。おおげさであるさま。
- [初出の実例]「猶おぼしめぐらしておほきなることどもし給はば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
- ③ 心が広いさま。寛大であるさま。
- [初出の実例]「おいらかにおほきなる心おきてと見ゆれど、したの心ばへ雄々しからず癖ありて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)藤裏葉)
- ④ 恩徳、利益などが大であるさま。価値があるさま。
- [初出の実例]「冥(はるか)に景(オホキ)なる福を加へ、隣に強き敵無からむ」(出典:大唐西域記長寛元年点(1163)五)
- ⑤ 地位、身分が高いさま。
- [初出の実例]「vôqinaru(ヲウキナル) クライ ニ イタッテ」(出典:天草本平家(1592)一)
- ⑥ 程度がはなはだしいさま。はげしいさま。ひどいさま。
- [初出の実例]「てんかのことはと有ともかかりともみいのちのあやうさこそおほきなるさはりなれば」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- [ 2 ] 〘 接頭語 〙 名詞の上につけて用いる。
- ① 大きい、また、偉大な、の意を添える。「おおき海」「おおき戸」「おおき聖(ひじり)」など。
- ② 同官のうちの上位であることをあらわす。「おおきまつりごとびと」「おおきものもうすつかさ」など。⇔少(すない)。
- ③ 同位階のうちの上位であることを表わす。「おおきみつのくらい」など。⇔従(ひろい)
おおいおほい【大】
- [ 1 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 「大き」の変化したもの。もとは形容詞連体形と推定される ) 大きいさま。
- ① 物の形の大きいさま。
- [初出の実例]「なえたる衣どもの厚肥えたる、おほいなる籠(こ)にうちかけて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
- ② 物事の程度のはなはだしいさま。
- (イ) 盛大なさま。偉大なさま。立派なさま。
- [初出の実例]「道隆寺に、上野の親王の、おほいなるわざし給ふなるを」(出典:宇津保物語(970‐999頃)藤原の君)
- 「生きては帰る望もなかった身を、彼は大(オホイ)なる力に牽かれて阿蘇の煙を東に見る銀杏城下の郷里に帰り」(出典:黒い眼と茶色の目(1914)〈徳富蘆花〉 EPILOGUE )
- (ロ) 重大なさま。重要なさま。
- [初出の実例]「互の善知識大ひなる因縁あり」(出典:海道記(1223頃)矢矧より豊河)
- (ハ) 数量や程度のはなはだしいさま。→大いに。
- [ 2 ] 〘 接頭語 〙 人物をあらわす名詞の上に付いて、上位の人であることをしめす。
- ① 位官をあらわす語に付いて、従に対する正、少・中に対する大をあらわし、上位であることをしめす。「おおいもうちぎみ」など。
- ② 殿や君など、尊敬の意をしめす語の上に付いて、年長の人であることをあらわす。「おおいどの」「おおいぎみ」など。
大の語誌
( 1 )[ 一 ]は中古以後、上代語形容詞「おほし(多)」がそなえていた数量の多さ以外の意を引き継ぎ、形や規模の大であるさまを基本に、ほめことばとして立派さを示したり、程度の大であるさまなどを表わすようになった。室町時代以後、形容詞化して「おほきい」という語形を生じ、それが標準化するにしたがって、もとの形容動詞からきた形は「おおきな(おほきな)」に限定されて連体詞化する。
( 2 )[ 二 ]の場合は、下位の「ひろい(従)(「ひろき」の音便形)」の対。官職の上位を表わす場合は、「なかの(中)」「すない(少)」の対。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「大」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の大の言及
【サーンキヤ学派】より
…その出発点は人間存在を苦と見るところにあり,この哲学説の目的は,人間存在をとりまく苦からいかにして脱却するかにある。精神的原理は[プルシャ]puruṣa(漢訳で〈神我〉)と呼ばれ,純粋精神であって,知を本質とし,個我であり,原子の大きさをもち,無数に存在する。それは永遠の実体であって本来的に輪廻や解脱とかかわりない。…
【大鼓】より
…日本の打楽器の一種。おおかわ(大鼓,大革),大(だい)ともいう。能,狂言,歌舞伎囃子などで使われる。…
【四大】より
…仏教で説く物質の構成要素のことで,地,水,火,風の4種をさす。〈大〉または〈大種〉はサンスクリットmahā‐bhūtaの漢訳語である。〈地大〉とは堅さを性質とし物質を保つもの,〈水大〉とは湿性をもつもの,〈火大〉は熱を性質とし成熟の作用をもち,〈風大〉は動作を性質とする。…
※「大」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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