化学辞典 第2版 「ゴム状態」の解説
ゴム状態
ゴムジョウタイ
rubbery state
非晶性高分子をガラス転移温度以上に熱すると,構造的には液体と同じ構造をもったまま弾性率が約1 MPa へと急激に減少し,軟化した状態(流動はしない)に転移する.非晶性高分子に特有な状態で,これをゴム状態という.分子運動論的にみると,ゴム状態は,低分子物質の場合の液体状態に対応するが,非晶性高分子の場合は,低分子物質の分子に相当する単位が共有結合でしっかり結ばれているため,互いに自由な運動をするわけにはいかない.しかし,固体状態ではないので,低分子の液体状態の場合よりもずっと制限を受けるが,鎖状分子の各部分は,比較的小さな範囲の主鎖のまわりの回転運動(ミクロブラウン運動)をすることができる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報