さして

精選版 日本国語大辞典 「さして」の意味・読み・例文・類語

さし‐て

  1. 〘 副詞 〙 ( 動詞「さす(指)」の連用形助詞「て」が付いて一語化したもの )
  2. 意志、行動の対象を明確に指示・限定する態度を表わす語。それと限定して、こうだとはっきりと。
    1. [初出の実例]「こもり江に思ふ心をいかでかは舟さすさほのさして知るべき」(出典:伊勢物語(10C前)三三)
    2. 「十郎は曾我にさして用の事有りければ」(出典:曾我物語(南北朝頃)四)
  3. ( 下に打消の語を伴って用いる ) それほど特別にはという意味を表わす語。これといって。さほど。あまり。たいして。
    1. [初出の実例]「さして思ふ事なきだに聞きすぐしがたげなるに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)賢木)

さしての補助注記

副詞の「さ」に動詞「す」の連用形と助詞「て」が付いてできたものとも意識される。→「さしたる」の語誌

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android