精選版 日本国語大辞典 「さしたる」の意味・読み・例文・類語
さし‐たる
① 特に心にこうと思い定めた。とりたててちゃんとした。特にこれこれの。
※宇治拾遺(1221頃)一四「このあそびのもとよりさしたることなんいはんと思ふ」
② (下に打消の語を伴って) 特にこれというほどの。これといった。たいした。さほどの。させる。
※栄花(1028‐92頃)花山たづぬる中納言「無官の定になしきこえまほしけれど、さすがにその事とさしたる事のなければ」
※中華若木詩抄(1520頃)上「壮気にして、ありつるがいつのまにやら、年よりて、さしたる者にもならず」
[語誌](1)平安時代の公家日記など記録体の文章で生まれた「指(させる)」が、十二世紀に入って「さしたる」と、読まれるようになったもの。助動詞「り」が衰え「たり」が盛んに用いられるようになったのに応じて、定着していく。従って、古記録などに見られる「指」の文字には「さしたる」と読んだか「させる」と読んだかはっきりしないものがある。
(2)中世の古記録では、「指」のほかに「差」「為差」とも表記されていたが、次第に平仮名書きが多くなり、副詞「さ」にサ変動詞「す」の連用形「し」、完了の助動詞「たり」の連体形「たる」が付いたものと意識されるようにもなる。
(3)近代に入ると漢字表記はほとんどされず、文語的な表現に仮名書きで見られるようになる。
(2)中世の古記録では、「指」のほかに「差」「為差」とも表記されていたが、次第に平仮名書きが多くなり、副詞「さ」にサ変動詞「す」の連用形「し」、完了の助動詞「たり」の連体形「たる」が付いたものと意識されるようにもなる。
(3)近代に入ると漢字表記はほとんどされず、文語的な表現に仮名書きで見られるようになる。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報