サターン・ロケット(その他表記)Saturn rocket

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サターン・ロケット」の意味・わかりやすい解説

サターン・ロケット
Saturn rocket

アメリカがアポロ計画のために 1958年から開発した一連の強力なロケット。サターンI型,IB型 (改良I型) ,V型の3種がある。I型は2段式で,長さ 58m,重さ約 529t,初打上げは 61年 10月 27日であった。第1段は液体酸素ケロシンを使用した推力 85tのH-1エンジン8本を束ねたもので (全推力約 682t) ,第2段は液体水素と液体酸素を使用したS-4エンジン6本を束ね,推力約 40tであった。 64年1月には重さ 17tの重量物を軌道に乗せた。7号機までにエンジンおよびアポロの実験を終り,8~10号の3機は科学衛星ペガサスの打上げ用に使われた。 IB型も2段式ロケットで,長さ 68m,直径 6.5m,重さ 590t,66年2月 26日初めて打上げられた。第1段はI型と同じ。第2段は液体水素,液体酸素使用のJ-2エンジンを単一で用い,推力 90tであった。無人アポロ宇宙船を積んで各種の実験を行なったあと,68年 10月に初めて有人のアポロ7号を衛星軌道に乗せることに成功した。V型は3人乗りのアポロ宇宙船を月まで送るために開発されたもので,67年 11月に初の発射試験が行われた。長さ約 110m,最大直径 10m,重さ約 2700tの3段式ロケット。第1段はケロシン,液体酸素を使った推力 680tのF-1エンジン5基を束ねた強力なもの (全推力 3400t) である。第2段は液体水素を使った推力 90tのJ-2エンジン5基を束ねた (全推力 450t) 。第3段はJ-2エンジン1基を備えている。

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