サマセット県(読み)サマセット(その他表記)Somerset

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サマセット県」の意味・わかりやすい解説

サマセット〔県〕
サマセット
Somerset

イギリスイングランド南西部の県。県都トーントン。1974年の自治体再編により,北部がエーボン県の一部として分離された。ブリストル海峡に面する県で,パレット川が流れるサマセット平野を中心に,それを三方から囲むメンディップ丘陵,エクスムア台地,ブレンドン丘陵などの丘陵地帯からなる。北東部のメンディップ丘陵を中心に先史時代の遺跡があり,ローマ時代には主要街道の一つフォス街道がこの地方を通り,これに沿ってリンディナエ(のちのイルチェスター)の町が発展。アングロ・サクソン時代はウェセックス王国の一部をなした。1066年のノルマン・コンクェスト後,多くの城が建造され一部が現存するが,中世以降歴史的にはあまり重要性をもたなかった。主産業は農業で,イギリス有数の酪農県として知られ,メンディップ丘陵西麓のチェダーはチェダーチーズの原産地。市場園芸,果樹栽培も重要で,古くから果実酒の生産が盛ん。工業部門では手袋,レース,リンネル,絹などの伝統工業のほか,トーントンやヨービルで製造業,エンジニアリングが行なわれる。石灰岩,粘土,泥炭などの採掘が行なわれる。ブリストル海峡に臨むヒンクリーポイントには原子力発電所が立地する。高速道路大都市圏と結ばれ,夏には多くの観光客が訪れる。面積 3452km2人口 49万8093(2001)。

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