改訂新版 世界大百科事典 の解説
シクロテトラメチレンテトラニトラミン
cyclotetramethylenetetranitramine
HMX,オクトーゲンとも呼ばれる。シクロトリメチレントリニトラミン(RDX)とよく似ており,無水酢酸法でRDXを製造する際にわずかに副生する。製造条件によってはHMXの収率を高めることができる。無色の結晶で,α,β,γ,δの4種の結晶形があるが,β型が安定で衝撃に対しても比較的鈍感なので,β-HMXが高性能耐熱爆薬の主成分として用いられる。爆速は比重1.89のとき9110m/sで,実用爆薬のなかでは最高である。HMXを主成分とした爆薬にはLX-04,LX-09,LX-14,オクトール,PBX-9407,PBX-9501などがある。
ヘキサメチレンテトラミン(ウロトロピン)の酢酸溶液と硝酸アンモニウムの硝酸溶液を,酢酸,無水酢酸およびパラホルムアルデヒドの混合液に加え,反応混合物を熱水で希釈し,沸騰して不純物を分解した後,冷却,ろ過,水洗してから,アセトンで再結晶すると99%β-HMXが得られる。
執筆者:吉田 忠雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報