ヘキサメチレンテトラミン(読み)へきさめちれんてとらみん(その他表記)hexamethylenetetramine

デジタル大辞泉 の解説

ヘキサメチレンテトラミン(hexamethylenetetramine)

複素環式化合物の一つ。ホルムアルデヒドアンモニア反応で得られる。無色無臭の結晶性の粉末で、樹脂硬化や発泡化、爆薬製造、尿路殺菌剤などに用いられる。塩素と反応してホルムアルデヒドを生成する。HMTヘキサミンメテナミンウロトロピン(商標名)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ヘキサメチレンテトラミン
へきさめちれんてとらみん
hexamethylenetetramine

複素環脂肪族アミンの一つ。ヘキサミン、メテナミン、ウロトロピン、1,3,5,7-テトラアザアダマンタンその他多数の名称をもつ。ホルムアルデヒドとアンモニアの反応で合成する。無色・無臭の結晶または粉末。水、エタノールエチルアルコール)、クロロホルムなどに溶ける。ゴムの加硫やフェノール樹脂合成における反応促進剤として使われる。またアンチモンビスマス、銀、金、水銀などの分析試薬、利尿剤や尿路消毒薬としても用いられる。

[務台 潔]


ヘキサメチレンテトラミン(データノート)
へきさめちれんてとらみんでーたのーと

ヘキサメチレンテトラミン

 分子式 C6H12N4
 分子量 140.2
 融点  >280℃(封管中分解
 沸点  昇華(真空)

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化学辞典 第2版 の解説

ヘキサメチレンテトラミン
ヘキサメチレンテトラミン
hexamethylenetetramine

C6H12N4(140.19).ヘキサミン,ウロトロピンともいう.ホルムアルデヒドと計算量のアンモニア水をまぜてつくる.結晶性粉末.263 ℃ で昇華する.水,エタノール,クロロホルムに可溶,ベンゼン,アセトンエーテルに難溶.酸性水溶液中では原料に分解し,低温で濃硝酸と反応して爆薬トリメチレントリニトロアミンを,還元によりメチルアミンを生じる.利尿剤,尿路消毒薬,ゴムの加硫促進剤,ビスマス,銀などの分析試薬として用いられる.[CAS 100-97-0]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

百科事典マイペディア の解説

ヘキサメチレンテトラミン

化学式はC6H12N4。日本薬局方名ヘキサミン,商品名ウロトロピン。無臭の白色結晶。230℃以上で一部分解して昇華。水,エタノールに可溶。水溶液は酸により分解。フェノール樹脂の硬化促進剤,ゴムの加硫促進剤,火薬ヘキソーゲンの製造原料,医薬(尿路消毒剤),分析試薬などに利用。ホルムアルデヒドとアンモニアから合成する。(図)
→関連項目ウロトロピン

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ヘキサメチレンテトラミン
hexamethylenetetramine

ヘキサミン。尿路防腐剤。ホルムアルデヒドとアンモニアの結合した化合物。酸性の尿中で分離してホルムアルデヒドを生じるので,尿路系の防腐剤となる。尿を酸性にするためには,リン酸二水素ナトリウムや塩化アンモニウムなどを用いる必要がある。1回量 0.5g,1日 1.5g。淋菌または大腸菌による膀胱炎,細菌尿,腎盂炎などに用いたが,抗生物質,サルファ剤などの出現によって用途が限られてきている。

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