硝酸アンモニウム(読み)しょうさんあんもにうむ(英語表記)ammonium nitrate

翻訳|ammonium nitrate

日本大百科全書(ニッポニカ) 「硝酸アンモニウム」の意味・わかりやすい解説

硝酸アンモニウム
しょうさんあんもにうむ
ammonium nitrate

硝酸アンモニウム塩。工業部門では俗に硝安とよばれる。50~70重量%の硝酸をガス状アンモニアで中和することによって大規模に生産されている。無色結晶で、常圧において5変態をとるが、常温では斜方晶系のβ(ベータ)形がもっとも安定である。きわめて吸湿性に富み、水によく溶け、またエタノールエチルアルコール)にも溶ける。通常空気中では安定であるが、可燃性物質が混入したり、密閉容器中で加熱、衝撃、摩擦などを受けると爆発することがある。開放状態で加熱すると、その温度により分解反応をおこす。密閉状態で加熱すると、容易に次の爆発反応に移行する。

  4NH4NO3―→2NO2+8H2O+3N2
 肥料火薬爆薬原料などの用途があるが、寒剤、酵母培養の養分としても用いられる。

[鳥居泰男]



硝酸アンモニウム(データノート)
しょうさんあんもにうむでーたのーと

硝酸アンモニウム
NH4NO3
式量80.0
融点169.6℃
沸点
比重β;1.66, γ;1.725(測定温度25℃)
結晶系α;正方ほかに4変態がある)
溶解度γ;118.3g/100g(水0℃)
3.8g/100g(エタノール20℃)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「硝酸アンモニウム」の意味・わかりやすい解説

硝酸アンモニウム
しょうさんアンモニウム
ammonium nitrate

化学式 NH4NO3 。工業的に硝安と呼ばれる。無色結晶。吸湿性があり,融点 169.5℃,約 220℃で分解し,主として水と一酸化二窒素 N2O になる。水に易溶,アルコールに可溶水溶液は微酸性を呈する。寒剤,爆薬,肥料に用いられ,一酸化二窒素,マッチの製造原料となる。

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