シャペロニン(その他表記)chaperonin

翻訳|chaperonin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャペロニン」の意味・わかりやすい解説

シャペロニン
chaperonin

分子シャペロン molecalar shaperonともいう。蛋白質分子が折り畳まれたりオリゴマー形成するとき,一時的にこれと結合し,正しい高次構造をとったり正しい相手と結合するように介助する蛋白質。従来は蛋白質の高次構造アミノ酸配列 (一次構造) で決るといわれていたが,シャペロニンの発見により,「他の蛋白質の助が要ることもある」ことが判明した。熱ショック蛋白質 (熱など環境の変化によって誘導される一群の蛋白質) のなかには,蛋白質が膜を通過するとき1度ほどかれて再度折曲るのを助けるものがある。ヌクレオプラスミンは,ヒストンが核酸との複合体 (ヌクレオソーム) を正しく形成するのに必要である。また,大腸菌の GroE,GroES蛋白質は,他の蛋白質が正しいオリゴマーになるのを助ける。これらの作用機構は不明だが,疎水性領域同士の相互作用が重要と考えられている。また,シャペロニンは ATPアーゼ活性をもつので,ATP (→アデノシン三リン酸 ) のエネルギーも必要と思われる。シャペロニンの名称は,社交界のシャペロン (令嬢に付添い,好ましい相手との接近を助ける役) に由来する。

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化学辞典 第2版 「シャペロニン」の解説

シャペロニン
シャペロニン
chaperonin

シャペロンとしてはたらく熱ショックタンパク質の一種.分子量6×104タンパク質(cpn60,大腸菌ではGroEL).タンパク質の構造の形成や修復に作用する.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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