オリゴマー(読み)おりごまー(英語表記)oligomer

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オリゴマー」の意味・わかりやすい解説

オリゴマー
おりごまー
oligomer

単量体(モノマー)が低い程度に重合してできた重合体で、分子量は1000以下のものをいう。高分子化合物がその機械的強度などの実用的性質を示すためには、分子量が少なくとも数万程度以上を必要とする。オリゴマー高分子物質の性質を示さず、一般の有機化合物と同じように減圧蒸留分離も可能である。重合反応を、四塩化炭素のような連鎖移動がおこりやすい溶媒中で行うと、極度に低いオリゴマーを生成させることができる。このようなビニル重合の一方法をテロメル化(短鎖重合)といい、用いられる連鎖移動剤をテローゲン、単量体をタキソーゲン、生成したオリゴマーをとくにテロマーという。このテロマーを減圧蒸留で分離して、各種工業製品の原料としている。

垣内 弘]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オリゴマー」の意味・わかりやすい解説

オリゴマー
oligomer

蛋白質の完成した1分子が数個サブユニットから成る場合に,サブユニットの各1個をプロトマーといい,完成した蛋白質分子をオリゴマーという。たとえば,ヘモグロビンの場合,各2個ずつのα鎖およびβ鎖はプロトマーであり,2個ずつのαおよびβが α2β2 の形に組合わさったものがオリゴマーである。同一のオリゴマーは,周囲条件および結合する分子によって,わずかずつ異なる立体構造をとることが可能で,これをその蛋白質の四次構造という。

オリゴマー
oligomer

一般に,分子量が1万以下の低重合体をいうが,その範囲は明確なものではない。オリゴマーは低分子と高分子の中間の性質をもち,現在までに種々の液状または固体のオリゴマーが合成されている。オリゴマーは塗料,接着剤潤滑剤可塑剤化粧品などの各種用途のほか,合成原料としても使われている。

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