日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュワルベ」の意味・わかりやすい解説
シュワルベ
しゅわるべ
Gustav Albert Schwalbe
(1844―1916)
ドイツの解剖学者、人類学者。中部ドイツのクベドリンブルクに医師の子として生まれる。ベルリン、チューリヒ、ボンの各大学に学び、ライプツィヒ、イエナ、ケーニヒスベルク、ストラスブールの各大学教授を歴任した。ボン大学教授シュルツェの下で舌の味蕾(みらい)(シュワルベ小体)を発見したほか、神経組織の研究で業績をあげ、脳の内側前庭核(シュワルベ核)、視神経鞘間隙(しょうかんげき)(シュワルベ腔(こう))、延髄の前正中裂の盲孔(シュワルベ孔)などを発見した。のちに人類学的研究に力を入れ、ネアンデルタール出土の化石頭骨に関して、病的な変形とするウィルヒョウの説を否定し、原始的な人類のものであることを明らかにした。おもな著書に『目のリンパ管』(1871)、『神経学教科書』(1881)、『感覚器官の解剖学』(1885)、『外耳』(1904)、『人類先史時代の研究』(1906)などがある。門下に脈管解剖学の足立文太郎(あだちぶんたろう)、人類学のワイデンライヒがいる。
[澤野啓一 2018年11月19日]