精選版 日本国語大辞典 「延髄」の意味・読み・例文・類語
えん‐ずい【延髄】
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髄脳(ずいのう)ともいう。中枢神経系は脊髄(せきずい)と脳とからなっているが、その脳の最下部が延髄で、脳の延びた部分という意味である。延髄の上方は、哺乳(ほにゅう)動物の場合では後脳(橋(きょう)と小脳)へと続き、鳥類以下では橋がなく、小脳だけに続く。延髄の下方は脊髄につながるが、その境は明確ではない。一般には、脊髄の第1頸(けい)神経が出る部分までを延髄下端とするのが適当であろう。延髄長軸の長さは約2.5センチメートルで脊髄より膨らみ、やや横に押し延ばされたような円柱形をして、後頭骨の斜めになった後下部「斜台」にのっている。こうした全体の形から脳球という呼び方もある。延髄の下半部は脊髄と外形もよく似ており、横断面の中心部には脊髄からの中心管がそのまま続き、上半部は延髄全体が左右方向に扁平(へんぺい)となり、細い中心管が急に第四脳室へと開いている。つまりこの部分では、延髄の背側部は外側に割れるような感じで移動し、天井が開放されたようになる。天井の覆いとなるのは小脳の後半部である。延髄の表面には脊髄と同じ溝と索状隆起がみられるが、腹側面では正中線に前正中裂という溝があり、脊髄の前正中裂に続いている。とくにこの溝の左右に、内側から錐体(すいたい)およびオリーブとよばれる膨らみがあるが、ともに外観の形からつけられた名称である。錐体の内部には横紋筋の随意運動を支配する神経線維束(皮質脊髄路または錐体路)が縦走している。これはもっとも重要な運動支配路であり、系統発生的にみても、哺乳動物に特有な新しい仕組みである。オリーブ内部にはオリーブ核という神経細胞群が存在しており、この神経核は体の平衡、直立前行などに関係して、不随意運動の調節に重要な役割を果たしている。延髄下半部の背側部には、頭部を除く全身の皮膚感覚(とくに触覚)や筋肉覚、腱(けん)覚などの感覚線維がある。
延髄内部の構造は、下半部では脊髄とほとんど同じであるが、上半部に移ると変化が著しくなり、神経核の配置も複雑になる。脳神経に関係しては、内耳神経の中の前庭神経が関係する前庭神経核の一部、三叉(さんさ)神経が関係する三叉神経脊髄路核、舌下神経を出す舌下神経核、舌咽神経・迷走神経に関与する迷走神経背側核、疑核、孤束核、下唾液(だえき)核などが存在している。舌咽神経、迷走神経に関係するこれらの神経細胞群は、気管、食道、咽頭(いんとう)、喉頭(こうとう)あるいは心臓の運動、味覚や唾液分泌など、内臓諸器官の自律反射の働きに関係し、生命の維持にも重要な役割をもっている。そのほか、嘔吐(おうと)反射、咳嗽(がいそう)(咳(せき))反射、くしゃみ反射、そしゃく反射などに関係ある神経細胞群、嚥下(えんげ)反射、唾液分泌に関する中枢、呼吸中枢、血管運動中枢などが、延髄と関係していることが、種々の実験結果から考えられている。
[嶋井和世]
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…側脳室を囲む部分を終脳(正確には,左右の大脳半球と終脳の不対部),第三脳室を囲む部分を間脳,中脳水道を囲む部分を中脳,第四脳室を囲む部分を菱脳とする。さらに菱脳の前半部(後脳)からは小脳と橋(きよう)が分化し,菱脳の後半部は延髄(髄脳)として脊髄に連続する。 成人の脊髄は身長の28~29%の長さがあるが(日本人では40~47cm),脳と脊髄の重量比は約55対1であり,中枢神経系において脳の占める割合がいかに大きいかがわかる。…
※「延髄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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