味蕾(読み)ミライ(その他表記)taste bud

翻訳|taste bud

デジタル大辞泉 「味蕾」の意味・読み・例文・類語

み‐らい【味×蕾】

脊椎動物味覚器。主に舌の粘膜乳頭に分布する、花のつぼみ状の器官。頂部の小孔から味の刺激を受け、味覚神経に伝える。味覚芽

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精選版 日本国語大辞典 「味蕾」の意味・読み・例文・類語

み‐らい【味蕾】

  1. 〘 名詞 〙 味覚を感じる末端器官。主に舌の表面に多数分布する小体。味覚芽。〔からだの手帖(1965)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「味蕾」の意味・わかりやすい解説

味蕾 (みらい)
taste bud

味蕾は脊椎動物で特殊に形成された化学受容器の一つで,その形が花のつぼみに似るところからこの名がつけられた。その感覚(味覚)は延髄へ伝えられる。味蕾には味細胞があり,その先端の突起が受容の場所とされている。味細胞には味神経の末端がシナプスをつくっている。魚類両生類では味細胞と基底細胞があり,味蕾の先端は口腔粘膜から突出する。哺乳類では3型の味細胞と基底細胞があり,先端は口腔粘膜にある小孔の中にかくれている。これらの細胞の個々の機能はまだわかっていない。味蕾は化学受容だけでなく,温度や機械的刺激にも感受性をもっている。

 味蕾の存在場所と分布密度には動物種により差がある。哺乳類では舌乳頭,軟口蓋喉頭蓋に存在し,鳥類爬虫類軟骨魚類,円口類では口腔内に散在する。カエルは,舌に乳頭状の味円盤taste discをもっている。味覚が最も発達している硬骨魚類では,口腔内だけでなく体表にも分布しており,分布密度も高い。魚類では味蕾の分布状態はその種の摂餌様式や生息環境と関係が深い。味細胞の寿命は一般に非常に短く,味蕾周辺の上皮細胞からの供給により,常に細胞の交代が行われている。
味覚
執筆者:

ヒトでは舌をはじめ口腔粘膜に分布し,長さ70~80μm,中央部の径が40μmの紡錘形をなし,味細胞と支持細胞からなる。味蕾は胎生期には,舌の有郭乳頭,葉状乳頭,茸状(しじよう)乳頭,軟口蓋などに分布するが,成人ではその分布は狭くなり,ほぼ有郭乳頭と葉状乳頭に限られる。1個の有郭乳頭に分布する味蕾の数は200前後である。味蕾は舌神経,舌咽神経によって支配されるが,この神経繊維は味蕾外の上皮にも分布するため,味蕾の存在しない部分でも味を感じることができる。
 →味覚
執筆者:


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日本大百科全書(ニッポニカ) 「味蕾」の意味・わかりやすい解説

味蕾
みらい
taste bud

味覚芽(みかくが)ともいう。味覚の感覚器で、その中には味受容器である味細胞が含まれる。味蕾は、脊椎(せきつい)動物では一般に口腔(こうくう)内の舌、軟口蓋(なんこうがい)、咽頭(いんとう)および喉頭(こうとう)にみられるが、魚類では体表やひげにもみられる。哺乳(ほにゅう)動物では、味蕾の約80%は舌表面に散在する茸状(じじょう)(きのこ状)乳頭(ヒトでは舌の前3分の2に約100個ある)、葉状(ようじょう)乳頭(舌の後部各側縁に1個ある)および有郭乳頭(舌の後部に10個ほど存在する)内に分布する。成人では口腔全体で4000~5000個の味蕾があるといわれる。また、ヒトの場合、味蕾は茸状乳頭に数個、葉状乳頭に約500個、有郭乳頭に約200個含まれる。味蕾は形態が花の蕾(つぼみ)状で、大きさは長径70マイクロメートル、短径50マイクロメートルほどである。味蕾中には数十個の細胞が含まれ、味細胞、支持細胞、基底細胞などに区別される。味蕾の頂上には味孔があり、そこを介して味物質が味細胞を刺激する。味細胞の興奮は、鼓索(こさく)神経や舌咽(ぜついん)神経などに含まれる味覚神経線維に伝達される。味細胞の寿命は約10日であり、次々と新しい細胞と入れ替わる。

[佐藤俊英]


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百科事典マイペディア 「味蕾」の意味・わかりやすい解説

味蕾【みらい】

脊椎動物の味覚器。魚類では体表にまで分布するが,その他の脊椎動物では口腔内に限られ,口腔粘膜ことに舌乳頭に存在する。粘膜上皮の間にはさまれた蕾(つぼみ)状の小体で,味細胞と支持細胞の2種の細長い細胞からなり,その一端にある味孔という小孔で粘膜表面に開口する。味覚神経(三叉(さんさ)神経と舌咽(ぜついん)神経)の繊維の一部は味蕾の内,また一部は外で終わるので味蕾外の粘膜でも味覚は感受できる。成人よりも小児でよく発達する。→味覚
→関連項目ヒメジ味覚障害

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化学辞典 第2版 「味蕾」の解説

味蕾(みらい)
ミライ
taste bud

脊椎動物の味覚受容器.魚類では口腔内だけでなく,体表にも存在する.成人では約9千個の味蕾があるが,その2/3は舌表面にある茸(じょう)状,有郭,葉状乳頭の上皮内にあり,残り1/3は軟口蓋や咽頭,喉頭蓋上皮にみられる.1個の味蕾は,40~100個の紡錘形の細胞がつぼみ状に集まったもので,味孔(taste pore)とよばれる小孔で外界に開いている.電子顕微鏡の観察で,1個の味蕾には少なくとも4種類(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ型細胞と基底細胞)が存在し,このなかでⅢ型細胞が神経終末とシナプスを形成し,味覚受容細胞と考えられている.[別用語参照]味覚

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「味蕾」の意味・わかりやすい解説

味蕾
みらい
taste buds

舌乳頭中に多数存在する味覚受容器で,花の蕾 (つぼみ) 状の構造をしている。味細胞とこれを支持する細胞,基底細胞から成り,味細胞が味覚刺激を受容する。

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栄養・生化学辞典 「味蕾」の解説

味蕾

 脊椎動物の味覚受容器.小体で紡錘形の味細胞と支持細胞でできている.味細胞はその一部を口腔に出しており,味物質を感じる.

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世界大百科事典(旧版)内の味蕾の言及

【味覚】より

…味覚円板には味細胞と支持細胞があり,前者は舌咽神経が支配する。魚では口腔内の舌や口蓋のほかに顔面にも受容器の味蕾(みらい)taste budがあり,おもに顔面神経の枝で支配する。哺乳類でも味覚の受容器は味蕾で,上では乳頭(糸状乳頭,たけのこ状乳頭,有郭乳頭,葉状乳頭などの区分がある)上のほか,口蓋の上皮中に存在する。…

【舌】より

…表面が角化していないため二次乳頭中の血管が透けて赤みを帯びて見える。子どもでは味覚をつかさどる味蕾(みらい)が存在していることがある。(3)有郭乳頭 舌分界溝の前に1列に並んで8~15個みられる。…

【味覚】より

…味覚円板には味細胞と支持細胞があり,前者は舌咽神経が支配する。魚では口腔内の舌や口蓋のほかに顔面にも受容器の味蕾(みらい)taste budがあり,おもに顔面神経の枝で支配する。哺乳類でも味覚の受容器は味蕾で,上では乳頭(糸状乳頭,たけのこ状乳頭,有郭乳頭,葉状乳頭などの区分がある)上のほか,口蓋の上皮中に存在する。…

※「味蕾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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