イェナ(読み)いえな(英語表記)Jena

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イェナ」の意味・わかりやすい解説

イェナ
Jena

ドイツ中部,チューリンゲン州の都市。ワイマールの東約 20kmのザーレ川沿いに位置する。9世紀からの町で,1230年に都市権を獲得。 14世紀中頃にマイセン辺境伯領。辺境伯ウェッティン家の分裂 (1485) 後はエルンスト家系に属し,1672~90年にはザクセン=イェナ公国の中心となり,1741年以後はザクセン=ワイマール公国に属した。 1548年に発足したイェナ大学は,ゲーテパトロンであったザクセン=ワイマール公カルル・アウグスト (1757~1828) 治下の 1787~1806年に最盛期を迎え,フィヒテヘーゲルシェリングシラー,シュレーゲルなどを教授陣に擁した。以後,同大学は特に新思想に対する受容の自由さを伝統としている。現在の校舎 (1906~08) はゲーテが『ヘルマンとドロテーア』を書いた公国の城館跡に建てられている。大学のほか気象研究所,地震研究所など研究教育機関も多い。第2次世界大戦で被害を受けたが,大学,14世紀の市庁舎,聖ミヒャエル教会 (1438~1528) などの歴史的建造物は修復された。工業では,光学機器のツァイス社,および光学ガラスなどのショット社の所在地として古くから特に知られるが,ほかに精密機器・化学工業も立地する。人口 10万 2518 (1991推計) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イェナ」の意味・わかりやすい解説

イエナ
いえな
Jena

ドイツ中部、チューリンゲン州の大学都市。1949~1990年は旧東ドイツに属した。ザーレ川中流部、標高145メートルにある。人口9万9900(2000)。16世紀までは小さなブドウ栽培地であった。1558年に大学が創立されると、ブドウ農家の家が教授宅や学生宿と化した。1800年ごろは古典ドイツ哲学の中心となり、またのちにはロマン派の会合地として発展し、有名な詩人学者が、教授、学生、客として住み着いた。シラー、フィヒテ、シェリング、ヘーゲル、シュレーゲル、W・フンボルト、マルクスなどがその例である。1846年カール・ツァイスによって顕微鏡やカメラなどの精密機器工場がつくられてから工業化が始まり、今日、薬品工業、製図業も盛んである。

[佐々木博]

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