足立文太郎(読み)あだちぶんたろう

  • 1865―1945
  • 足立文太郎 あだち-ぶんたろう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

[生]慶応1(1865).静岡
[没]1945.4.1. 京都
解剖学者,人類学者。 1894年東京大学卒業。京都大学教授。学士院会員。軟部人類学の開拓者で,小児斑汗腺わきがなどについて人種的差異があることを強く主張した。特に日本人の脈管の研究は世界的に著名。学士院恩賜賞ならびにゲーテ賞受賞。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

1865-1945 明治-昭和時代前期の解剖学者,人類学者。
慶応元年6月15日生まれ。三高教授をへて明治37年京都帝大医科大教授。昭和5年「日本人の動脈系統」で学士院恩賜賞。のち「日本人の静脈系統」を発表。軟部人類学の創設者として知られる。作家井上靖は娘婿(むこ)。昭和20年4月1日死去。81歳。伊豆(いず)田方郡(静岡県)出身。帝国大学卒。

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世界大百科事典 第2版の解説

1865‐1945(慶応1‐昭和20)
解剖学者,人類学者。静岡県生れ。東大卒業後ドイツに留学,第三高等学校教授を経て,1904年京都大学医学部教授となり,解剖学を担当。軟部人類学,とくに日本人を対象とした解剖学研究の先駆者。筋の異常の統計学的研究のほか,諸民族の体臭耳垢(じこう)についての遺伝学的・組織学的研究,さらにドイツ語で発表した《日本人の動脈系》(1928),《日本人の静脈系》(1933,40)などが知られる。25年定年退職後,大阪高等医専(大阪医科大学)の初代校長になった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

人類学者、解剖学者。静岡県伊豆に生まれ、帝国大学医科大学(現、東京大学医学部)を卒業。解剖学を専攻し、第三高等学校医学部(現、岡山大学医学部)教授となり、ドイツ留学を経て、1904年(明治37)より京都帝国大学医科大学教授となった。血管、筋肉、内臓、皮膚などの軟部組織に関する詳細な研究を行い、とくに日本人とヨーロッパ人の人種的差違を明らかにする画期的な業績をあげた。『日本人の動脈系』(1928)および『日本人の静脈系』(1933)と題する、ともにドイツ語の大著は、血管系の体内での走行分布に関して、その個人差、人種差をきわめて詳細に明らかにしたものである。今日、血管系の分岐・走行の起源および差違を論ずる際には、かならず「足立の何型」と称せられるほどに、その研究は高く評価されている。学士院恩賜賞およびドイツ赤十字名誉賞を受賞した。しかし研究途上では、学会出席の時間すら惜しむほど研究に没頭したため、世間に知られることが少なかった。このほか、体臭に関する研究も著名で、腋臭(えきしゅう)(わきが)などのもとになるアポクリン腺(せん)(汗腺の一種)の人種差、およびわきがと粘着性の耳垢(じこう)(みみあか)との密接な遺伝的関係を明らかにした。

[澤野啓一 2018年11月19日]

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