日本大百科全書(ニッポニカ) 「シンカイヨロイダラ」の意味・わかりやすい解説
シンカイヨロイダラ
しんかいよろいだら / 深海鎧鱈
deepsea armored grenadier
[学] Coryphaenoides yaquinae
硬骨魚綱タラ目ソコダラ科に属する海水魚。超深海に生息する代表的な種。房総半島以北の日本海溝、北部千島(ちしま)列島、カムチャツカ半島、中央太平洋、アメリカのワシントン州からカリフォルニア半島にかけての東太平洋に分布する。体は円筒状で、尾部は延長して紐(ひも)状。頭は幅が広くてすこし縦扁(じゅうへん)する。頭の頂部には明瞭(めいりょう)な溝や隆起がない。眼下部に低い隆起が走る。吻(ふん)は短くて硬い。口は頭の下面に開き、上顎(じょうがく)長は頭長の3分の1以上ある。上顎の歯は狭い歯帯で、肥大した鋭い外列歯がまばらに並ぶ。下顎歯は外列歯より小さいが、内列歯より大きく、前端部で2列になっている。頭部の下面と下顎の下面に鱗(うろこ)がない。第1背びれと第2背びれはよく離れ、第2背びれ起部は臀(しり)びれの起部よりも著しく後方に位置する。第1背びれの第2棘(きょく)の前縁は鋸歯(きょし)状。臀びれは第2背びれよりも高い。腹びれは伸長し、臀びれの起部をわずかに越える。尾びれはない。体は暗・灰褐色~灰青色などで、吻、口唇、ひげ、鰓蓋(さいがい)は黒い。全長約63センチメートルになる。水深2500~6945メートルの海底近くにすみ、ビームトロールおよびフィッシュトラップでとらえられ、超深海から採集された種として注目された。近縁種のヨロイダラC. armatusとは、頭と下顎の下面に鱗があること、下顎歯は前端で2列であることなどで区別できる。
[尼岡邦夫 2016年10月19日]