日本大百科全書(ニッポニカ) 「シームリア」の意味・わかりやすい解説
シームリア
しーむりあ
seymouria
[学] Seymouria baylorensis
古生代ペルム紀(二畳紀)前期の、約2億9000万年前に北アメリカにいた両生類と目される肉食動物。炭竜(たんりゅう)類(炭竜目)に属し、体の形状は爬虫類(はちゅうるい)と両生類の中間型を示し、進化史上貴重な化石動物である。全長約60センチメートル。頭骨は迷歯類とよばれる大形両生類と共通する特徴を多くもつ。迷歯類は古生代デボン紀末から三畳紀末にかけて栄え、その歯の横断面でエナメル質の表面が複雑に折れ込み、曲がりくねった線を示すことにその名の由来がある。シームリアの鋭い歯も迷歯類型の構造を示す。背骨、肩のあたり、および骨盤、前肢骨は初期の爬虫類と共通的な特徴をもっていたが、幼生の化石がみつかり、両生類と判明した。この動物の卵が、両生類のように柔らかくて水中に産み付けられたものなのか、爬虫類のように固い殻をもったもので地上に産み付けられたものかどうかは不明である。テキサス州シーモアの町の北方で発見された。
[小畠郁生]
『エドウィン・H・コルバート、マイケル・モラレス著、田隅本生監訳『脊椎動物の進化』(1994・築地書館)』