脊椎(せきつい)動物門両生綱に属する動物。カエル、サンショウウオ(イモリを含む)、アシナシイモリ類が含まれる。
脊椎動物で最初に陸上生活を始め、爬虫(はちゅう)類さらに鳥類、哺乳(ほにゅう)類へと発展する基礎となった動物群として、進化史で重要な位置を占める。両生類は硬骨魚類の総鰭類(そうきるい)に由来し、最古の両生類イクチオステガIchthyostegaは古生代デボン紀の地層に発見されている。総鰭類は筋肉質のじょうぶな対鰭をもち、これが両生類の四肢となった。また、うきぶくろが肺となり、えらにかわって陸上で空気呼吸を行うようになった。石炭紀には多様なグループを生じ、なかには全長3メートルを超す大形種もいたが、中生代になると爬虫類が発展して両生類は衰退した。現生の両生類は3目約3400種を含み、脊椎動物で最小の綱である。
現生の両生類は比較的小形で、体表は分泌腺(せん)に富む皮膚に覆われ、鱗(うろこ)や毛はない。頭は平たく、魚類より少ない骨で構成される。椎骨とは2個の後頭突起で接合する。脳に新皮質はなく、大脳は小さい。脳神経は10対で爬虫類の12対より少ない。耳骨は1個。二次口蓋(こうがい)はない。胴部に四肢があるが、有尾類の一部では退化し、無足類では欠如している。横隔膜はない。心臓は2心房1心室で、体循環と肺循環の分離は不完全。赤血球は楕円(だえん)形で有核である。肺の構造は簡単で、肺を欠く種もある。変温性。
[倉本 満]
南極大陸と北極圏の大部分を除く全世界に分布する。移入種を除き、洋島にはいない。体表が水を透過しやすいため、主として湿った場所で生活し、地上性、地中性、樹上性、水中性など、さまざまな生活様式がある。海水にすむ種はいない。原則として小形動物を食べる。卵は小形でゼリー層に包まれ、卵殻はない。胚膜(はいまく)も形成されない。一般に水中に産卵し、孵化(ふか)した胚はえらを備えた幼生となって水中生活を送り、変態して成体となる。幼生の形態は多くの点で成体と異なる。この典型的な生活史のほか、湿った地上や樹上に産卵するものがあり、体内受精をする種では胚が母体内で発育して幼生または変態を終了した幼体となって産まれるものもある。
[倉本 満]
『中村健児・上野俊一著『原色日本両生爬虫類図鑑』(1963・保育社)』▽『フレーザー著、山極隆訳『両生類の生活』(1976・共立出版)』▽『千石正一編『原色両生・爬虫類』(1979・家の光協会)』
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…この類で最古のものはシルル紀後期に現れ二畳紀まで栄えた板皮類(綱)Placodermiで,これから最初に分かれた(オルドビス紀後期)のが軟骨魚類Chondrichthyesと推定されているが,これの化石は,やはり板皮綱から分かれデボン紀前期に現れた硬骨魚類Osteichthyesよりも後のデボン紀中期にならないと姿を見せない。硬骨を獲得した硬骨魚綱の中の総鰭類(亜綱)Crossopterygiiから分かれ,四肢と肺を獲得した両生類Amphibiaはデボン紀から石炭紀への移行期,両生綱から分かれ羊膜を獲得した爬虫類Reptiliaは石炭紀後期,爬虫類の祖竜亜綱Archosauriaから分かれ羽毛を獲得した鳥類Avesはジュラ紀前期,同じく爬虫綱の単弓亜綱Synapsidaから分かれ毛と乳腺および3個の中耳小骨を獲得した哺乳類Mammaliaは三畳紀後期に現れている。無顎綱,板皮綱,軟骨魚綱,および硬骨魚綱を合わせて魚類Pisces,残りのものを四足動物Tetrapodaの2上綱とすることがある。…
…口腔には歯,舌,唾液腺が,胃には胃腺が,小腸には絨毛(じゆうもう)と漿液腺(しようえきせん)があり,その前部(十二指腸)には胆汁を出す肝臓,膵液(すいえき)を出す膵臓が細い管で開口する。排出器官は腎管から発達した前腎(成体では円口類と原始的な硬骨魚類),中腎(魚類と両生類),または後腎(爬虫類,鳥類,哺乳類)である。中枢神経系は脳と脊髄に分かれ,脳は大脳(端脳),間脳,中脳,小脳および橋,延髄からなる。…
…コイやナマズのようなコイ類(骨鰾(こつひよう)類)では中耳の代りにウェーバー器官があり,音はうきぶくろからウェーバー小骨連鎖を経て内耳に伝わる。両生類や爬虫類には中耳がみられるが,外耳はなく,鼓膜が露出している。外耳は哺乳類で発達するが,鳥類にも一部みられる。…
※「両生類」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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