ジュネーブ聖書(読み)ジュネーブせいしょ(英語表記)Geneva Bible

翻訳|Geneva Bible

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジュネーブ聖書」の意味・わかりやすい解説

ジュネーブ聖書
ジュネーブせいしょ
Geneva Bible

イギリス女王メアリー1世の迫害によってジュネーブに逃れた清教徒がカルバンの影響のもとに 1560年訳出した保守的な英訳聖書。章節番号をつけた最初の英訳聖書で,カルバン主義色彩の強い簡潔な注が付してある。主として,W.ウィッテンガムがティンダル訳を土台にして訳したもので,ウィッテンガム聖書ともいわれる。シェークスピアもこれを愛用し,メイフラワー号に乗ったピルグリム・ファーザーズプリマスにたずさえていったのもこの聖書といわれている。『創世記』3章7でアダムイブが最初に身に着けた物を従来の「前掛け」とせず,もっと慎み深い breeches (半ズボン) と訳したので,ブリーチェス・バイブル Breeches Bibleと呼ばれることもある。

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世界大百科事典(旧版)内のジュネーブ聖書の言及

【欽定訳聖書】より

…イギリス国王ジェームズ1世の命を受け,五十数人の聖職者,学者からなる翻訳委員が周到な計画と良心的な作業のもとに1607‐11年の間に完成した英訳聖書。その序文によると,国教会公認の《主教聖書The Bishops’ Bible》(1568)を底本とし,ティンダル以後の英訳聖書やドイツ語訳などを参照して,ヘブライ語,ギリシア語の原典から新たに翻訳したというが,むしろティンダル訳やピューリタン派の《ジュネーブ聖書》(1560)などの粋をとって集大成した,一種の改訳である。その原典として用いた本文が十分良質なものではなかったことや当時の聖書研究が未発達であったことから,委員の努力にもかかわらず,現代の学問的レベルから見れば誤訳ないし不適当な訳文を含み,またその個所により多少の出来不出来がないわけではない。…

【聖書】より

…とくにイギリスでは,16世紀の間に約10種に及ぶ英訳聖書が相次いで出版された。おもなものは,プロテスタント系の《カバデル訳聖書》(1535),《大聖書》(1539),《ジュネーブ聖書》(1560),《主教聖書》(1568)であり,また唯一のカトリック系訳として《リームズ・ドゥエー聖書》(新約1582,完訳1610)がある。 そして,これらの英訳聖書の頂点に立つのが1611年刊行の《欽定訳聖書》である。…

※「ジュネーブ聖書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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