日本大百科全書(ニッポニカ) 「メイフラワー号」の意味・わかりやすい解説
メイフラワー号
めいふらわーごう
Mayflower
1620年、ピルグリム・ファーザーズ(巡礼始祖)が亡命地オランダから本国イギリスを経てアメリカへ渡るときに乗った船。イギリス国教会の礼拝や信条に満足しないピューリタン(清教徒)のなかでも、教会内にとどまって改革しようとした長老派に対し、彼ら分離派は、腐敗した教会からまったく分かれて純粋に神のことばに基づく教会を新大陸につくろうとした。メイフラワー号は、その出発の象徴であるとともに、上陸直前に船上で交わされた「メイフラワー契約」(宗教上の契約に基づく政治上の契約)の点で歴史上重要である。この船は、重さ180トン、長さ約27メートル、3本マストの商船で、1620年9月16日102人を乗せてイギリスのプリマスを出航し、2か月後北アメリカのプロビンスタウンに入港して修理・補給を行ったのち、12月21日、マサチューセッツ州の沿岸(後のプリマス)に到着。翌年4月帰国の途についた。
[野村文子・松村 赳]
『石原兵永著『清教徒』(1963・山本書店)』