日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジョウロウホトトギス」の意味・わかりやすい解説
ジョウロウホトトギス
じょうろうほととぎす / 上﨟杜鵑草
[学] Tricyrtis macrantha Maxim.
ユリ科(APG分類:ユリ科)の多年草。根茎は短い。茎は高さ40~80センチメートル、上部は下に傾き、普通は淡褐色の粗い毛がある。葉は卵状楕円(だえん)形または狭卵形で、しだいに先がとがり、長さ8~14センチメートル。葉の基部は円く、耳状になるが、下側にある耳だけが茎を抱く。9~10月、上部の葉腋(ようえき)および茎頂に1個ずつ花を下垂して開く。花被片(かひへん)は倒披針(とうひしん)形で、鮮黄色、内面に紫褐色の斑点(はんてん)がある。外花被片の基部は距(きょ)状に少し伸びる。名の由来は、上﨟(じょうろう)(女官)の意と、花被片の斑点をホトトギスの胸の斑点に見立てることによった。高知県、宮崎県の山中にまれに生育する。
[河野昭一 2018年12月13日]