スクイズド状態(読み)スクイズドじょうたい(その他表記)squeezed state

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スクイズド状態」の意味・わかりやすい解説

スクイズド状態
スクイズドじょうたい
squeezed state

真空のゆらぎが人工的に制御された状態。量子力学の基本原理によって,真空はゆらぎをもつとみなされている。電磁場振動成分はコサイン成分とサイン成分に分解され,それぞれのゆらぎエネルギーは真空状態の場合,ともに 1/2という値をもつが,不確定性原理によればその積が 1/4以上であればよい。したがって 1成分を 1/2以下,他成分を 1/2以上にした状態が可能であり,それをスクイズド状態という。1/2以下になった成分は,自然界の真空よりさらに真空となっている。1965年に物理学者高橋秀俊が,この状態はパラメトリック増幅過程において生成されると予言し,1985年ベル研究所とテキサス大学が実証した。スクイズド状態の,ゆらぎが少ないほうの成分を利用することで,雑音を抑えた信号を発生できる。この発想は,振動のサイン・コサイン成分ばかりでなく,振幅位相光子数と位相の関係にも拡張できる。数学的には,超伝導の理論においても重要なボゴリューボフ変換によって真空から導くことができる。

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