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不確定性原理 ふかくていせいげんり uncertainty principle

翻訳|uncertainty principle

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

不確定性原理
ふかくていせいげんり
uncertainty principle

量子力学における粒子と波動の二重性を古典論的な立場から理解するため,ウェルナー・カルル・ハイゼンベルクが導いた原理。たとえば一つの電子の位置 x と運動量 p を測定したとき,その不確かさをそれぞれΔxΔp とすると,ΔxΔph/4π(hプランク定数)という不確定性関係が成り立つことが示される。

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知恵蔵2015の解説

不確定性原理

量子世界の様子が1つに定まらないこと。1927年、W.ハイゼンベルクが提唱した。たとえば粒子の位置と運動量は、片方を精密に決めようとするともう一方が大きくばらつく。双方のばらつきを掛け合わせたものは必ず一定値を超える。量子力学の波が観測の瞬間にしぼんで粒子が姿を現すときのゆらぎに対応。時刻とエネルギーにも同様の関係がある。

(尾関章 朝日新聞記者 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

ふかくていせい‐げんり【不確定性原理】

量子力学における基礎的原理。原子電子などの世界では、一つの粒子について、位置と運動量、時間とエネルギーのように互いに関係ある物理量を同時に正確に決めることは不可能であること。1927年にハイゼンベルクが提唱。
[補説]同時に正確に決めることができない位置と運動量、時間とエネルギーのような物理量の組み合わせを不確定性関係という。Aqを測定による粒子の位置の誤差、Bpを位置の測定に伴う粒子の運動量の乱れとすると不確定性原理はプランク定数を使い、AqBp≧h/4πという不等式で表される。左辺は二つの物理量の誤差と乱れの積であるが、どちらか一方を零にするともう一方が無限大になってしまうことから、両方の厳密な値を同時に測定できないことを意味している。現代物理学において長らくこの式が正しいとされていたが、平成15年(2003)に日本の小沢正直はハイゼンベルクの式を修正した小沢の不等式を提唱し、平成24年(2012)にその修正した式が実験的に正しいことが明らかになった。

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百科事典マイペディアの解説

不確定性原理【ふかくていせいげんり】

一個の粒子の位置xとその方向の運動量p(/x)を同時に測定した場合,測定値には必ずある不確定さΔx,Δp(/x)が伴い,その間にΔx・Δp(/x)≧h/2(hはプランク定数を2πでわったもの)の関係が成立するという原理。
→関連項目決定論思考実験量子力学

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法則の辞典の解説

不確定性原理【indeterminate principle,uncertainty principle】

質点の位置と運動量を同時に決定しようとすると,一方を正確に測定すれば他方は原理的に不正確となる.それぞれの不正確さ(位置 ⊿q,運動量⊿p)の積は作用量子 h と同程度となる.ハイゼンベルクによってはじめて明確に指摘されたもので,量子力学の根本をなす重要な原理である.

出典|朝倉書店
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世界大百科事典 第2版の解説

ふかくていせいげんり【不確定性原理 uncertainty principle】

電子の位置と運動量(=質量×速度)の両方,一般にはどんな対象についても力学で正準共役な対といわれる二つの量を同時に精密に決めることはできないという量子力学の定理。量子力学の物理的な理解に重要な鍵となるので,しばしば原理の名で呼ばれる。量子力学のもとになったマトリックス力学の発見にあたり(1925),W.ハイゼンベルクは原子の中での電子の軌道は観測できないから物理の対象にすべきでないと考えてこれを排除し,観測できる量の間の関係だけが登場する形の理論をさがして成功した。

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大辞林 第三版の解説

ふかくていせいげんり【不確定性原理】

量子力学において、粒子の位置と運動量、エネルギーと時間などの一組の物理量について、その両者を同時に正確に測定し、決定することはできないことをいう。二つの測定値の不確定さの積はプランク定数に比例する一定値より小さくなり得ないという不確定関係が成り立つ。1927年ハイゼンベルクによって導かれた。 → 相補性

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

不確定性原理
ふかくていせいげんり
uncertainty principle

原子や素粒子などの微視的世界の粒子の位置と運動量を測定すると、粒子の状態が同じであってもこれらの物理量の測定値は一般にばらつく。この場合、ばらつきの大きさの間には定まった関係がある。この関係を原理のようにみなしたとき、この関係を不確定性原理という。ドイツのハイゼンベルクが1927年にみいだしたものである。[田中 一]

古典的世界と微視的世界の運動

図Aの(1)のように野球のボールをたたくとボールは飛んでいく。ボールは飛行中つねに確定した位置と確定した速さあるいは速度を有していて、図Aの(2)のようにボールの運動状態を1個の点の描く曲線として示すことができる。しかし、微視的世界の粒子の運動では事情がまったく異なる。図Bの(1)は水素原子内電子の位置x座標を測定した結果であり、軸の方向は任意である。位置のy座標やz座標についても同様な結果となる。水素原子内電子は太陽系内の惑星のように軌道を描いて陽子の周りを運動しているのではなく、波のような運動状態にある。この状態にある電子の位置の測定値は、運動状態が同一であっても測定ごとに測定値がばらついているが、多数回測定したときに得られる個々の測定値の頻度は測定値ごとに定まっている。図Bの(1)は電子の位置の測定値の頻度分布を確率で示す。図BのΔxは測定値のばらつきの大きさである。
 図Bの(2)では、電子の速さの測定値のかわりに運動量(速さ×質量)の測定値の頻度分布と測定値のばらつきの大きさΔpを示す。このばらつきの大きさは、それぞれ

である。ここではプランク定数hを2πで割ったものである。これら二つのばらつきの大きさを乗じた結果は(2/3)=0.816…となって1/2より大きい。この関係すなわちΔxΔp/2を不確定性関係といい、水素原子内電子の運動の場合のみならず粒子の運動一般の位置と運動量の間に成り立つ。そればかりではなく、もっと広く正準共役(きょうやく)な力学変数の間でもつねに成り立つ。この関係は、微視的世界の粒子の運動状態の特徴の核心を示したものであって、共役な物理量の間の関係を不確定性関係という。この関係を用いると量子的現象の多くの特徴を理解することができる。とくにこの点に注目したとき不確定性関係を不確定性原理とよぶ。[田中 一・加藤幾芳]

量子力学と不確定性原理

図Bの(1)と(2)とを後に示す方法で一つの図にまとめたものが図Cであって、水素原子内電子の状態を有限な広がりをもつ雲のような点の分布で示す。このような分布で表される微視的世界の粒子の状態と図Aの(2)の1点で表される古典的世界の粒子の運動状態とを比べてみれば、微視的世界の力学すなわち量子力学が古典力学といかに異なっているかを知ることができよう。
 粒子の量子力学的運動状態のなかには、粒子の位置がほぼ定まっていてΔxがゼロに近い場合がある。しかし、この場合には不確定性関係から、運動量のばらつきΔp/(2Δx)よりつねに大きいことを考えると、Δx→0となるにしたがいΔpは→∞となって運動量のばらつきはきわめて大きくなってしまう。運動量のばらつきが小さくなっても同じである。
 不確定性関係は位置xと運動量pの間の特別の関係すなわち交換関係xppxiから理論的に導くことができる。したがって、不確定性関係は微視的状態すなわち量子的状態の特徴を示すものであって、主観的なものでなく、客観的なものである。時間とエネルギーとの間にも、不確定性関係と同様な関係ΔtΔE/2が成り立つ。エネルギーの高い状態にある粒子は、時間がたつにしたがって急速にエネルギーの低い状態に移っていく。このときの時間間隔Δtとエネルギー間隔ΔEの間に不確定性関係と同様の関係が成り立つことを示すことができる。この結果、短い時間の間であれば粒子は高いエネルギー状態をとることができることがわかる。
 図Bの(1)と(2)から図Cの画面の図を作成するには、まず図Cの画面を等間隔の縦と横の何本かの直線で多数の正方形の小区画dに分ける。次にこの小区画dに対応する位置x'と運動量p'の値に対する図B(1)と図B(2)の確率Px'Pp'を求め、両確率の積Px'Pp'に比例する濃度で小区画dを塗りつぶす。塗りつぶすかわりに、この確率の積に比例する数の点をランダムに打ってもよい。この処理を小区画全体にわたって行う。図Cは40×40に分けたときのものである。
 量子力学では、座標と運動量のそれぞれの分布を表す二つの図(図Bの(1)、(2))ではなく、一つの図(図C)で表すことができる。[田中 一・加藤幾芳]

不確定性関係と物理法則

古典力学によるならば、水素原子内の電子は円軌道運動という加速度運動を行っているため絶えず電磁波を放出し、その結果、1000億分の1秒で崩壊してしまうことになる。つまり、古典力学では水素原子の安定性を導き出すことができないことを意味する。電子が力学的に運動しながらその運動範囲を縮めていくとΔxもまた小さくなり、不確定性関係からΔpが大きくならざるをえなくなる。このとき運動エネルギーが増大する。電子はエネルギーが大きいこのような状態をとらない。いいかえれば電子の運動範囲はある限度以下に小さくなることができない。このように不確定性関係は水素原子の安定性の根拠を端的に示すことができる。
 不確定性原理の提唱後、これを広く事象一般に適用するとともに因果律を否定する見解が現れて思想と哲学にも大きな影響を与えた。とくにハイゼンベルクが最初、不確定性関係を導くのに用いた方法は、実際の実験ではなく、思考上の実験として粒子の位置を引き続いて測定したときに生じる対象の乱れに注目したものであった。このため、これは主観が客観に関与する格好の例として、また世界の非因果性を示す具体例としてもたびたび取り上げられた。しかしながら、先に述べたように、不確定性関係は量子力学的に簡単に導くことができるもので、量子力学的に運動する粒子の状態をあいまいさなく表現したものである。したがって量子力学の不完全さや自然が非因果的であることを示すものとは考えられていない。
 小澤正直(1950― )はハイゼンベルクの不確定原理の導出に不十分な点があることをみつけ、その点を改善して疑義のない導出を与えた。2003年(平成15)に提唱し、「小澤の不等式」とよばれている。[田中 一・加藤幾芳]
『並木美喜雄著『不確定性原理』(1982・共立出版) ▽大森英樹著『数学のなかの物理学――幾何学的量子論へむかって』(2004・東京大学出版会) ▽原康夫著『量子の不思議――不確定性原理の世界』(中公新書) ▽都筑卓司著『不確定性原理――運命への挑戦』新装版(講談社・ブルーバックス)』

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