日本大百科全書(ニッポニカ) 「すし屋」の意味・わかりやすい解説
すし屋
すしや
すし(鮨)職人がつくったすしを食べさせる店。17世紀、三都になれずしの押しずしの店ができた。江戸にすし屋ができるのは貞享(じょうきょう)(1684~88)のころであった。1687年(貞享4)版『江戸鹿子(かのこ)』には、「舟町(ふなちょう)横町近江(おうみ)屋、同所駿河(するが)屋」の二軒の店が出ている。1787年(天明7)版の『七十五日』には、関西風、関東風それぞれのすし専門店、あるいは両者を調製する約20の店名が出ている。その後、早ずしが生まれ、さらに19世紀前半には、上方(かみがた)風のなれずしや腐りずしに対して、江戸前の握りずしがつくられた。また、のり巻き、五目(ごもく)、いなりなどの、いろいろなすしが現れた。都市の庶民の食生活に応じて、うどん屋、そば屋と並んで、ますます繁盛していった。すし屋の多くはすし職人の個人経営で、個人のほかに何人かの弟子、助(すけ)職人を抱えた大経営もあった。また、そのころ、江戸ではすしの担売(にないう)りもあった。なお、第二次世界大戦後は、国家試験による調理師としての資格が必要である。
近年「スシ」は健康食として外国でも好まれ、アメリカではスシ・バーもできて、一般に広く親しまれている。
[遠藤元男]
『宮尾しげお著『すし物語』(1960・井上書房)』▽『篠田統著『すしの本』(1966・柴田書店)』