改訂新版 世界大百科事典 「スジャラバンテン」の意味・わかりやすい解説
スジャラ・バンテン
Sejarah Banten
インドネシア,ジャワ西部バンテン王国の年代記。1662-63年に書かれ,体裁が整ったのは1701-02年ごろと考えられている。内容は,イスラムのジャワへの渡来に始まり,ファラテハン(スーナン・グヌン・ジャティ)によるバンテン王国の建設,および歴代の王の事績を対話形式で物語っている。ジャヤディニングラットHusein Jayadiningrat(1886-1960)の学位論文《スジャラ・バンテンの批判的考察》はこの年代記の信憑性についての本格的な研究である。彼はこの書物の中の年次の記載は信頼できないとしたが,後年の論文《土着の伝承とインドネシア史研究》では紀年における数の遊戯に象徴的価値を見いだしている。
執筆者:永積 昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報