ストラ(その他表記)stola[ラテン]

改訂新版 世界大百科事典 「ストラ」の意味・わかりやすい解説

ストラ
stola[ラテン]

古代ローマ時代の女性用トゥニカ。ギリシアペプロスやイオニア式キトンに似て,肩をあらわにしたもの,短い袖で肩をおおったものなどがあった。一般に着丈は足首までの長さで,装飾用の帯を締め,腰の上で軽くたるませるように着用した。はじめは無地毛織物が多かったが,帝政期の貴族の女性は東方産の麻か絹の薄い布地を好み,さまざまな色に染め上げて用いた。ストラの上には巻き衣式の女性用マント〈パラ〉を用いた。
トゥニカ
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ストラ」の意味・わかりやすい解説

ストラ
stola

古代ローマやビザンチンでおもに既婚女性が着用した裾の長い衣服。麻または薄手ウールなどで作られた。また,カトリック教会司祭儀式のおりに首から前に垂らす帯状の布,頸垂 (けいすい) 帯をもいう。

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世界大百科事典(旧版)内のストラの言及

【服装】より

…さらに2世紀末ころから,身ごろと袖とをいっしょに直線裁ちし,大きな袖をつけた〈ダルマティカ〉という新型チュニックも出現し,カトリックの儀式用衣服として長く生命を保つ。女子の通常的な衣服は〈ストラstola〉と呼ばれるチュニックで,これとアンサンブルで用いられるマントが〈パラpalla〉である。
[中世ヨーロッパ]
 古代のさまざまな系統の服装様式は中世ヨーロッパに流れ込む。…

【祭服】より

衣帯(えたい)
[キリスト教の祭(式)服]
 イエス・キリストや教徒たちが常用したと思われる服装は,一般人と変わらなかったとみられるが,当時の服装を遺産として受け継ぎ,各礼拝にふさわしい象徴的な装飾をほどこして祭服としている。最も重要なミサの祭服は,司祭の場合は肩衣(アミクトゥス),長白衣(アルバ),聖紐(チングルム),腕帛(マニプルス),頸垂(けいすい)帯(ストラ),上祭服(カズラ)からなる。司教,大司教,教皇の祭服は以上のものにさらに加えられる。…

【服装】より

…さらに2世紀末ころから,身ごろと袖とをいっしょに直線裁ちし,大きな袖をつけた〈ダルマティカ〉という新型チュニックも出現し,カトリックの儀式用衣服として長く生命を保つ。女子の通常的な衣服は〈ストラstola〉と呼ばれるチュニックで,これとアンサンブルで用いられるマントが〈パラpalla〉である。
[中世ヨーロッパ]
 古代のさまざまな系統の服装様式は中世ヨーロッパに流れ込む。…

【ローマ】より

…貴族と平民の区別が,いつどのようにして始まったか明らかではないが,共和政に入ったころから貴族はその身分を閉鎖し自らを特権化したので,これに対して平民の反発が起こった。平民の中の有力者は貴族との同権化を欲し,貧民は土地と,貴族の政務官(マギストラトゥスmagistratus)の横暴からの安全と自由などを求め,平民は大挙してローマ市から退去して近くの聖山(モンス・サケル)に立てこもった。貴族は譲歩し,その結果平民の権利を守る護民官と市場管理官(アエディレスaediles)の2役と,平民だけの集会(平民会。…

※「ストラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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