スベン(読み)すべん(その他表記)Svend Tveskæg

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スベン」の意味・わかりやすい解説

スベン
すべん
Svend Tveskæg
(960―1014)

デンマーク王(在位985ころ~1014)。クヌード大王の父。985年ごろ父のハラール青歯王に対し反乱を起こし、父を敗走させ王位についた。994年ノルウェーオーラフ・トリッグバソン(のちのオーラフ1世)とロンドン攻撃を行って以降、約20年間にたびたびイングランドに遠征し、多額のいわゆるデーン・ゲルド(デーン税)を徴収した。1013年イングランド王エセルレッド(エセルレッド2世Ethelred Ⅱ。968?―1016、在位978~1016)を追放、王位に上ったが、翌年2月3日ゲーンズバラで急死した。この間、1000年にはスウェーデン王やノルウェーの豪族連合、スボルの海戦でノルウェー王オーラフ1世を破り、ノルウェー南部地域を支配下に置いた。同時代史料は、そのほか、彼がノルマン人やスラブ人と戦い、幾度も捕虜となったり、スウェーデン王に追放されたことなどを断片的に伝えてはいるが、その真偽は不明である。また、彼の国内政策に関してもほとんど明らかになっていない。

[牧野正憲 2022年10月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のスベンの言及

【デンマーク】より

…デンマーク最初の王たちは自地域の最南に土塁〈ダーネビルケ〉を構築し,交易地ヘゼビュー(ハイタブ)の防衛と祖国防衛に力を注ぎ,この活動の延長上に,王の率いるバイキング活動が存在し,フランク王国とはアイダー川を国境として約定した(811)。やがてイェリングの地で興った王家は,970年ころハーラル青歯王Harald Blåtand(在位935ころ‐985ころ)治下で王国をキリスト教化し,その子スベン1世がイングランドを征服しその王を兼ね(1014),その次男クヌット2世が1016年イングランド王位に就き,18年兄ハーラル2世の没後はデンマーク王を兼ね,さらに28年ノルウェー王にも推戴され,3王国の王となった(これは北海帝国と呼ばれる)。クヌットの姉エストリドの子スベン2世Svend II(在位1047‐74)は,その統治期間中に現代のデンマークにつながる内政的秩序を打ち立て,後の王はなんらかの形で彼に血統をさかのぼらせることになる。…

※「スベン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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