重水(読み)じゅうすい(英語表記)heavy water

翻訳|heavy water

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

重水
じゅうすい
heavy water

重水素または重酸素を含む水はすべて重水というべきであるが,通常は酸化重水素 D2O のことをさす。電解速度は水の数分の1であるから,水の電解残液の中には重水が濃縮される。重水の製造はこの現象を利用したもので,通常は水酸化ナトリウムが分別電解される。融点 8.82℃,沸点 101.42℃。塩に対する溶解度も水と異なる。化学的には水に比べて反応性に乏しい。生理的には重水濃度が高いと生体に阻害作用が現れ,高等動物や植物は正常の呼吸や炭酸同化作用を行うことができず死にいたる。重水は中性子を吸収することが少いので,原子炉の中性子減速材として重要である。

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百科事典マイペディアの解説

重水【じゅうすい】

一般には重水素の酸化物D2Oをさすが,水分子のうちの酸素原子が通常より重い同位体(17Oまたは18O)で置換された重酸素重水をさすこともある。通常の水に約0.26%程度含まれ,水を電解すると残部に濃縮される。原子炉用中性子減速材・冷却材に使用。
→関連項目減速材ジュウテリウム重陽子

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世界大百科事典 第2版の解説

じゅうすい【重水 heavy water】

ふつうの水H2Oの水素原子Hを重水素原子D(ジュウテリウム)で置きかえた化合物。D2O(酸化ジュウテリウム)と書かれ,ふつうの水より比重が大なのでこの名がある。1931年アメリカのH.C.ユーリーらによって重水素の研究と関連して見いだされたもので,第2次大戦までは物理・化学的研究の対象にすぎなかったが,原子力の研究の発展とともに,原子炉の中性子減速剤としてt単位の大量の需要が生じ,現在は工業的に生産され,市販もされている。

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大辞林 第三版の解説

じゅうすい【重水】

軽水素以外の水素原子と酸素原子の組み合わせでできている水(H218O, H217O, HD16O などの分子)。狭義には、質量数二のデューテリウムと酸素によって分子が構成されている水(D2O)。普通の水より約一割重い。中性子を吸収することがきわめて少ない。原子炉の中性子減速剤や冷却剤として用いる。 → 重水素軽水

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

重水
じゅうすい
heavy water

水は水素Hと酸素Oの化合物であるが、水素には1H(プロチウムH)、2H(ジュウテリウムD)、3H(トリチウムT)の三つの安定同位体があり、酸素には16O、17O、18Oの三つの安定同位体がある。このうち1Hと16Oからできている水を軽水といい、それ以外のHとOとの組合せからできている水を重水という。普通の水は軽水(分子量18)を99.76%含み、それ以外の重水として表1のようなものが含まれている。このような含有量は、水の起源、場所などにかかわらずほぼ一定であるが、西アジアの死海や、あるいは深海の水、ある種の生体などでは重水がやや濃縮されている。また、これらの重水のうち、比較的容易に手に入るのは酸化ジュウテリウムD216Oなので、これを重水D2Oということが多い。D2Oの電解速度はH2Oの数分の1程度であるため、水酸化アルカリを含む水溶液を電気分解すると、残液が徐々に重水に富むようになり、また発生する水素中のD2濃度が高くなり、これを酸化して前段階の電解液に加えて濃縮を進める。これにより10万トンの水から約10トンの重水が得られる(そのほか同位体交換法によっても得ることができる)。
 重水は、通常の水と同じく無色・無臭の液体で、定性的な性質もほとんど変わらない(表2)。しかし定量的にはかなりの違いがあり、一般に反応性が乏しく、塩類の溶解度なども小さい。生物に対しては、重水の濃度が小さいときは、生体に対する阻害作用はみられないが、濃くなると現れ、たとえば高等動植物は重水中で正常の呼吸作用や、炭酸同化作用を行うことができなくなり死に至る。D2Oは中性子を吸収することがきわめて少ないので、原子炉の中性子減速材や冷却材として用いられ、その原子炉を重水型原子炉という。[中原勝儼]

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世界大百科事典内の重水の言及

【水】より

…このように水の研究は近代化学の発展の最も重要ないとぐちの一つとなったものである。
[軽水と重水]
 水は天然に得やすく,精製しやすい物質であるから,19世紀以来,多くの物理量の基準として利用されてきた。たとえば,純水1lの質量を1kgとし,純水の融点を0℃,沸点を100℃とし,また1gの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量を1calとするなどである。…

※「重水」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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