日本大百科全書(ニッポニカ) 「スルチェフスキー」の意味・わかりやすい解説
スルチェフスキー
するちぇふすきー
Константин Константинович Случевский/Konstantin Konstantinovich Sluchevskiy
(1837―1904)
ロシアの詩人、小説家。元老院議員の家に生まれる。西ヨーロッパの大学で哲学・自然科学を学び、帰国後官界に入って、晩年は政府公報の編集に従事した。詩人としての出発は1857年であるが、60年代の論争的な文壇で作品が標的となり沈黙したため、80年代以降に散文を含む重要な作品が集中している。
悲劇性、神秘性、ペシミズムが基調の作品世界は、独自の社会批判をも示して、純粋芸術派の枠を超えるが、現実を容認して、変化を期待せぬ態度は一貫し「矛盾の詩人」とよばれ、ロシア・モダニズムの先駆者とされた。
[島田 陽]