西ヨーロッパ(読み)にしヨーロッパ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「西ヨーロッパ」の意味・わかりやすい解説

西ヨーロッパ
にしヨーロッパ
Western Europe

ヨーロッパの西部地方。広義にはヨーロッパのうち第2次世界大戦以後も資本主義体制を維持した諸国の占める地域をさす。ヨーロッパから東ヨーロッパを除いた全域,北はフィンランドから南はギリシアまでの馬蹄型の地域をさし,国際政治分野などで西ヨーロッパという場合には,この意味で用いられることが多い。狭義には上記の地域から北ヨーロッパおよび南ヨーロッパを除いた部分をさすが,その範囲に特に定説はない。ここでは狭義の西ヨーロッパについて述べる。地形的にはヨーロッパ大平原が中央部の東西に広がり,南にヘルシニア期の中山性山地の山々や盆地が並び,さらにその南側,南ヨーロッパとの境界をアルプスピレネーなどの高山が限る。他方,北のスコットランドなどは,北ヨーロッパと同じくカレドニア期の古い山地で,氷河が削ってフィヨルドや多くの湖沼を示している。気候的には西岸海洋性気候が支配的で,冷夏暖冬を示す。アイルランドイギリスだけでなく,フランスベネルクスの沿岸部は冬に霧が発生しやすく,日照時間が少い。沿岸部や山岳部を除くと,降水量は年間数百ミリ程度で,あまり多くない。西ヨーロッパはギリシア,ローマ時代以来長らく,その南に比べてむしろ後進の地とみられていたが,次第に発展し,特に産業革命後は大きく飛躍した。イギリスのミッドランドから北フランス,ドイツのルール地方にかけて得られる石炭鉄鉱石などの資源により,工業化が急速に進み,その工業製品は,この地域のさまざまな制度,習慣,文物とともに世界中に広がっていった。政治,経済,文化のどの面でも,西ヨーロッパは近代世界の指導的地位にあったといえる。しかし,第1次および第2次世界大戦を経て,その地位は次第に低下をみせている。米ソ2国の強大化,かつての植民地の独立と発展などがその原因であるが,この傾向に歯止めをかけるためとして,地域内の各国間に協力・結合の機運が高まり,1967年にはヨーロッパ共同体 ECが誕生した。これはベネルクス三国,アイルランド,イギリス,ドイツ,フランスのほか,北ヨーロッパのデンマーク,南ヨーロッパのイタリア,ギリシア,スペイン,ポルトガルも参加し,さまざまの難問と取組みながら,すでにかなりの成果をあげ,さらに 91年のマーストリヒト条約によりヨーロッパ連合 EUに発展させることを宣言,99年までに単一通貨を基礎とした通貨統合と政治統合を目指している。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「西ヨーロッパ」の意味・わかりやすい解説

西ヨーロッパ
にしよーろっぱ

西欧

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android